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you ページ23

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演奏が終わり、辺りに一瞬の静寂が訪れる。するとすぐに、あちらこちらから拍手と歓声が巻き起こる。

ユンギさんはすごい。ユンギさんの歌には、人の心を動かす力があるに違いない。そう思わざるを得なかった。
聴衆の中にはあまりの感動に涙を流す人もいた。




ユンギさんの取り巻きが去り、おとなしくなったところで近づく。

するとユンギさんもこちらに向き直った。


挨拶もそこそこに、ユンギさんは鞄の中から一枚のCDを取りだした。タイトルも何も書かれていない、真っ白なCD。

「ありがとうございます!」


と受け取り、私がそれを大事に抱えるの見やった後、彼は私の隣にいるジョングクに目を向けた。



「・・・・・・彼氏?」



するとジョングクはいつもなら、オーナーやらスタバの店員さんなんかに聞かれたときは「誰がこいつなんかと!!!」と全力で否定するくせに、何故かこのときは動じずにユンギさんの顔を見据えていた。

咄嗟に私が

「いやいやいや。違いますよ!! ねぇ?」

とジョングクに同意を求めると、「まぁ」と一言だけ答えた。


何こいつ、まぁってなんだよ。

急に喋らなくなったジョングク。ユンギさんが明らかに態度が悪い彼をじっと見た後、私に視線を戻すと、


「新曲どうだった」


と聞くので、私は身振り手振りでどんなによかったかを伝えた。


語彙力がないなりに伝えた私の感想を、ユンギさんはしっかり聞いてくれた。


ユンギさんはフルフェイス越しではあるものの私の感想にご満悦の様子だった。


すると彼はじゃあ片付けるから、と私たちに背を向けキーボードの方へ歩いて行く。


すると、



ぐらっと、ユンギさんの体が一瞬傾いた。



と思えば、急にユンギさんがその場に座り込んだのだ。






「ユンギさん???!!!!!」

慌てて駆け寄り、彼の体を支える、男性の体は私には重たくてぐらついた。
すると隣にすぐジョングクが来て、一緒にユンギさんの体を支えてくれた。


「大丈夫ですか??!!」

そう耳元で言うと、大丈夫だ、と一言返事はするものの、彼の目はうつろだった。


やばい、どうしよう!! 焦ってジョングクの顔を見る。



「熱中症だろう。とにかく涼しいところ、Aの店がすぐそこだから、そこに連れて行こう」

俺が背負う、といってジョングクはユンギさんを軽々おんぶした。

鍛えてる筋肉は伊達ではないらしい。

そのまま私たちはいそいで、私の店に向かった。





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作者名:yurameku | 作成日時:2020年6月29日 15時

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