you ページ20
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その後お互いの近況を少し話した。
私はソウルで大学生をしていて、ここのすぐ傍のカフェで働いているということ。そしてたまたま見かけたフルフェイス、もといミンユンギさんの演奏に心奪われてここに来たということ。
ミンユンギさんはあの後、趣味だった音楽を再会し、身分を明かさずにストリートライブを週に何度かしているということ。
「ユンギさんもこのあたりに住んでらしたんですね」
そう言うと、彼は少し間を置いて頷いた。
ソウルから遠く離れた大邱の田舎で出会った二人が、こんな人であふれた都会で再開するだなんて･･････。
なんか運命みたいだな〜、なんて思いながら、彼を見ていると彼の口が動いた。
「CDいる？」
え。
突然の提案に困惑する。CD？CDってなんの？あ、え？？
何のことだろうと思っていると、恐らくユンギさんは察したのか「俺が歌ってる曲の」と言ってきた。
そりゃあもちろん欲しいですとも。こちとらそれが聴きたくてこの炎天下の中走ってきたんだから。
「ください！！！」
と元気よく答えると、ユンギさんは少し笑って「うるさ」といった。
彼のその笑顔に、驚いた。いや驚いたというか、衝撃を受けた。え、この人笑うんだ。
彼の肌は真っ白で、透明感があるというよりはもはや透けそうなくらいで、儚くて消えそうとはこのこと、といわんばかりの出で立ちで。
どこか浮世離れした彼の笑顔の破壊力は人智を超えていた、ように思う。
目が点になっている私を、さっきまで笑っていたユンギさんは不審な目で見返す。
その目を見て、はっとした私。あぶないあぶない、まだ二回しか会ってないんだぞ。そりゃ笑うわ人間だもの。
ユンギさんは「CDはまた今度持ってくる」と言ってくれたので、私は笑顔で頷いた。
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作者名：yurameku | 作成日時：2020年6月29日 15時
