嘘でもいいから。【しゆん】 (ページ13)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:1,343 hit

eleven ページ13

『いやぁ…まさかリスナーさんと遭遇するとはねぇ…』

相当びっくりしたんだろう。俺もびっくりした。

会話はコンビニ内まで聞こえてて、俺が行った瞬間声がワントーン上がって。

気持ち悪い。そう思った。

すぐ立ち去ってくれたのは良かったが、いつどこでリスナーと遭遇するかわからないなマジで。

よくわからない会話をしながら、俺たちは海へ向かった。

八橋の由来、白熊の毛は透明ということ。

雑学好き、あるいは頭のいい中学生や高校生が話すようなことを話した。

A、雑学好きだもんな。

そんな感じで海に着いた。

『綺麗だねぇ…』

し「だな。」

『定期の時間は大丈夫？』

し「まだ大丈夫。30分くらいしたら帰ろうか。」

『うん。』

夕日がとても綺麗で。その夕日にAが吸い込まれそうで。

気づけば、手を握ってしまっていた。

『しゆ？』

し「ごめん。なんかお前が吸い込まれそうだったから。」

『私はずっとしゆのそばにいるよ？』

し「ほんとか…？」

『だってしゆのこと好きだもん。』

この前みたいに目は逸さなかった。ちゃんと俺の目を見ていた。

嘘じゃないのかな。信じていいのかな。わかんねぇ。けど、今はその言葉を信じていたい。

し「俺も好きよ、Aのこと。」

好きだけじゃ、収まりきらねぇけどな。