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「な、なあに？」
一瞬、戸惑ったように視線を逸らしてからかえでちゃんが問うた。
「う、うん、あのね。かえでちゃんって……何歳なの？」
咄嗟に声を掛けてしまったから、話の内容なんて考えてなかった。いきなり歳なんて聞かれて変な子だと思われないかな。
そう焦ったけど、かえでちゃんは控えめな声色で答えてくれた。
「じゅう、ごさい……」
「15歳かあ、じゃあやっぱりわたしよりお姉ちゃんだ」
正直かなりびっくりした。4歳も年上だとは思わなかったから。なんというか、年下のわたしが言うのも失礼だけど、かえでちゃんって15歳って年にしてはなんだか仕草が幼いんだもん。今だって、うさぎのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめてる。
「わたしはね、11歳なの！かえでちゃんより4歳も年下だね」
「うん、さっき聞いてた……」
「そ、そっか。そうだよね」
そうだよ、わたし、自己紹介の時に歳のこと言ってた。言葉に詰まるわたしに、かえでちゃんが目を伏せて言った。
「あの、ゆんなちゃん。どうして私に声を掛けてくれたの？」
「え、あ、それはね……」
考えるように、視線を宙に浮かせる。でも、考え込む素振りを見せたら、なんだかかえでちゃんに失礼な気がして。
「そ、その、かえでちゃんとお話ししたかったから……かな」
なんて答えを返しちゃった。いきなりこんなこと言われて、ほんとに変な子だと思われちゃいそう。恐る恐る視線を向けると、かえでちゃんは青い目をぱちくりとさせてわたしを見ていた。ぬいぐるみを抱きしめている力が緩くなっているのが見て取れる。
「ほ、本当に……？」
信じられない、というのか、でも期待が込められた目でじっとかえでちゃんが見つめてくる。さっきよりも晴れた表情を向けてくれたのが嬉しくて、「うん！」と勢いよく頷いた。
「そう、なんだ。嬉しい……ありがとう」
ふわり、とかえでちゃんが照れ臭そうに笑った。今度はわたしが目を見張る番だった。そしてつい、口を開いて言ってしまった。
「あ……笑ってくれた……」
「え？」
「あっ、そのね、かえでちゃん、自己紹介の間ずっと、暗い顔してたから……」
『あ、あの……百目鬼、かえでです。え、えっと、これから……よろしくね』
「あの時のかえでちゃん、さっきみたいにすっごく不安そうだった。知らない人達に囲まれて、一気に注目されて不安だったんじゃないかって……わたしも、自分の番の時すっごくどきどきしてたもん。その気持ち、よく分かるから……だから、ずっと気になってたの」
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