・ ページ7
*
「咲楽ちゃんは元気ね、本当に」
「い、いやあ〜……そ、そうだよ。私の話より、カスミちゃんの今の言葉!
それってつまり、カスミちゃんが私達を自分の夢の中に集めた……ってこと、だよね!」
「要約する意味あったか?」
「てか一回言われた時点で分かるでしょぉ」
またきょとんと私を見る一つ結びくんに続けて、銀髪の男の子が馬鹿にするように私を見て笑った。
ていうか、全員の視線が私に向かってるんだけど!そりゃまあ、目立ってるから仕方ないんだけど……は、恥ずかしや〜〜!!
「な、なんで?何のために私達を集めたの?」
なんとか微妙な感じになってしまった空気を変えようと口を開く。カスミちゃんはくすくす笑ってこう返した。
「わたしはみんなが夢を見ている時にしか会えないでしょう?だったら、ずーーっと夢を見てさえいれば、ずっと遊んでいられるっていう事に気がついたのよ」
何を言っているの、カスミちゃん。私は……ううん、この場のみんなが思わず黙ってしまった。どんな反応を返すべきか、迷ってしまって。
「……私達はこのまま、眠った状態のまま覚めることがない、ということですか?」
少し間をおいて、制服姿に長い白髪を三つ編みに結った女の子が静かに言った。糸目がキュートだ。
カスミちゃんが頷く。
「そうね、夕鈴ちゃん。出口を探したければ探してみればいいわ。でも、せっかくお友達を連れて来たんだもの。わたしから帰すような真似はしないよ」
「そんな、私、ここにはいられないよ」
カスミちゃんを始めにみんなの視線が再び私へ向く。今度は恥ずかしいなんて感情はなかった。
「カスミちゃん、家族の話したことあるから知ってるでしょ?私は、弟達のために帰らなきゃ」
「ふーん?それなら、探してみればいいじゃない。私、今そう言ったわよね」
カスミちゃんが急に少し低い声で言った。一瞬、驚きで足がすくみそうになった。どうしちゃったの?
動きを止める私に対して、これ見よがしにカスミちゃんはため息を吐いて続ける。
「咲楽ちゃん。あなた、ちゃんと人の話聞いてるの?そういうところよ、あなたの悪癖」
「え……あ、うん。それはごめん……でも、」
「でもじゃなくてね」
私の言葉を遮って、カスミちゃんはピシャリと言った。声のトーンはいつもの調子に戻っている。
「わたし、話を聞かない人って嫌いなの。気をつけてね、咲楽ちゃん」
カスミちゃんはまた、にっこりと微笑を浮かべた。その目は笑っていない。
12人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ