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「あれっ?乱烈くんは?」
おかしいな、さっきまでそこにいたのに。周りを見渡して確認する私につられて、夕鈴ちゃんも軽く見回す。
「おかしいですね、どこかではぐれてしまったのかもしれません」
「ええ、どうしよう……!?」
その時だった。前の方を歩いていたしるべくんが足を止め、私達を制す。
「みんな、待って」
「わわっ、どうしたの?」
「誰かいる」
え?言われて先の方を確認する。それと同時に目を見張った。
両膝に手をついて花壇の紫陽花を見つめる二人の女の子。
そのうちの一人に目が行った。間違えるはずがない。あの子は……っ!
「っゆんちゃん!!」
「かえで!」
気がつけば私は駆け出していた。そして何故か、輝月くんも。私達の声に反応して二人がこっちを向く。そのうちの一人は、可愛い可愛い私の従姉妹、柏元ゆんなちゃんだ!
「えっ……さくっ咲楽ねえ!!」
「輝月お兄ちゃん…っ!?」
動揺しながらも、ゆんちゃんも私の方に駆け寄ってきた。今にも泣き出しそうな顔で。
ゆんちゃんの隣にいた女の子も、輝月くんに抱きつく。
「ううっ、咲楽ねえ〜!」
「輝月お兄ちゃん……っ」
「ゆんちゃん、不安だったよね。ごめんね……」
「かえで、どうしてここに……」
びっくりした。どうやら輝月くんも、あの女の子と知り合いだったみたい。って、あれ?
ゆんちゃんの頭を撫ぜながら、抱きしめ合う二人を見守る。そして、頭を捻った。あの子、どこかで……。
その時、私の視線に気が付いたらしい彼女と目があった。
「さくら、お姉ちゃん……?」
それはか細い声だったのに、私の心に強く響いたの。だってこの声、聞き覚えがある。それに、長い白髪に、青い目。正面から顔を見てほぼ確信した。やっぱり、この子……!
「かえで、ちゃん?あの、時の?」
どきどきと鳴る心臓に緊張を募らせながら問いかけると、彼女は長い髪を振り乱しながら、今度は私に駆け寄ってきた。
「やっぱり……!お姉ちゃんだわ!」
「かえでちゃん!かえでちゃんまで、どうしてここに!?それ以前に、大丈夫だったの!?」
まさかの感動の再会。何を隠そう、私もこの子とは奇妙な縁があるのだ。
かえでちゃんが嬉しそうに頷く。
「うんっ!あの後、ママがごめんねって倉庫から出してくれたの!」
その言葉に強い安堵感を抱く。そっか、と返事をする前に、輝月くんが声を上げた。
「えっと、突っ込みたいことは山ほどあるんだけど」
そこで言葉を切って、私の方を見た。
「咲楽、お前かえでと知り合いなのか?」
聞かれて、慌てて頷く。
「う、うん。実はね──」
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