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「分からないんです。ほんのちょっと前まで、一緒だったんですけど……」
「そっか、それなら心配だけど、地道に歩いて探すしかなさそうだね。無事だといいんだけど……」
「そうだ、」と聡迷くんが続ける。
「その子たち、名前をなんて言うのかな」
「ゆずの知り合いの子が
「分かった。じゃあ、探してみようか。勿論、俺たちも一緒に行くからさ。享くんも、ね」
聡迷くんが享くんに呼びかける。
「はい、聡迷さんが、そう言うなら」
「ありがとう、享くん!聡迷さん!」
ゆずが嬉しそうに言った。聡迷くんがまたにっこりと笑う。
「それじゃあ行こうか。この中じゃ俺が年長者だし、俺が先頭を行くよ」
みんな、ついてきて。そう言って歩き出した聡迷くんの後ろを、享くんを始めボク達もついて歩き出した。
*
聡迷くんと享くんと合流してからしばらく歩いたけど、景色はほとんど変わらない。入り組んだ廊下が伸びているばかりだ。
「うーん、なんだか疲れちゃったぁ。奏ちゃん達も見つからないし」
ボクがつい弱音を吐くと、聡迷くんが振り返った。
「そうだね……ちょっと休憩しよっか」
「さんせーい!どのくらい歩いたのかわかんないけど、足がだらしくて……よっと」
廊下の壁に座り込むと、ゆずもぴったりくっついて座ってくる。甘えたモードが発動しそうだ。多分、もし今もボクと二人きりだったらこの子だって「疲れた〜〜!」って言ってるところ!
でも、なんとか弱音を堪えている。偉いなあ、ボクとは大違いだ。
「享くんもおつかれさま……」
「いえ、ボクは……皆さんのお話を、聞きながら、でしたから。そんなに歩いた気は、していなくて……」
ゆずの隣に座る享くんが、控えめにそう答えた。確かに話しながらだったけど、それにしたってあんなに歩いたのに。享くんは見るからに大人しい子だから、にぎやかなのには慣れてないのかもしれないな。
「そうなの?それなら、いいんだけど……無理はしないでね?」
「はい、春原さん……ありがとう、ございます」
享くんがほんの少し頭を傾けてゆずに頷く。あ、そういえば……。
「ねえ、聡迷くんと享くんも、ボク達みたいに最初から一緒だったんでしょ?他にも何人かいたりした?」
二人を挟んだ先に座っている聡迷くんに向けて、身を乗り出して聞いた。聡迷くんは「えっと、」と宙を見上げて口を開く。
「いたよ、多分七、八人くらい」
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