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「分からないんです。ほんのちょっと前まで、一緒だったんですけど……」
「そっか、それなら心配だけど、地道に歩いて探すしかなさそうだね。無事だといいんだけど……」

「そうだ、」と聡迷くんが続ける。

「その子たち、名前をなんて言うのかな」
「ゆずの知り合いの子が金森(かなもり)(まもる)くんって男の子で、年上っぽい女の子が如月(きさらぎ)(かな)ちゃんだよ」
「分かった。じゃあ、探してみようか。勿論、俺たちも一緒に行くからさ。享くんも、ね」

聡迷くんが享くんに呼びかける。

「はい、聡迷さんが、そう言うなら」
「ありがとう、享くん!聡迷さん!」

ゆずが嬉しそうに言った。聡迷くんがまたにっこりと笑う。

「それじゃあ行こうか。この中じゃ俺が年長者だし、俺が先頭を行くよ」

みんな、ついてきて。そう言って歩き出した聡迷くんの後ろを、享くんを始めボク達もついて歩き出した。



聡迷くんと享くんと合流してからしばらく歩いたけど、景色はほとんど変わらない。入り組んだ廊下が伸びているばかりだ。

「うーん、なんだか疲れちゃったぁ。奏ちゃん達も見つからないし」

ボクがつい弱音を吐くと、聡迷くんが振り返った。

「そうだね……ちょっと休憩しよっか」
「さんせーい!どのくらい歩いたのかわかんないけど、足がだらしくて……よっと」

廊下の壁に座り込むと、ゆずもぴったりくっついて座ってくる。甘えたモードが発動しそうだ。多分、もし今もボクと二人きりだったらこの子だって「疲れた〜〜!」って言ってるところ!
でも、なんとか弱音を堪えている。偉いなあ、ボクとは大違いだ。

「享くんもおつかれさま……」
「いえ、ボクは……皆さんのお話を、聞きながら、でしたから。そんなに歩いた気は、していなくて……」

ゆずの隣に座る享くんが、控えめにそう答えた。確かに話しながらだったけど、それにしたってあんなに歩いたのに。享くんは見るからに大人しい子だから、にぎやかなのには慣れてないのかもしれないな。

「そうなの?それなら、いいんだけど……無理はしないでね?」
「はい、春原さん……ありがとう、ございます」

享くんがほんの少し頭を傾けてゆずに頷く。あ、そういえば……。

「ねえ、聡迷くんと享くんも、ボク達みたいに最初から一緒だったんでしょ?他にも何人かいたりした?」

二人を挟んだ先に座っている聡迷くんに向けて、身を乗り出して聞いた。聡迷くんは「えっと、」と宙を見上げて口を開く。

「いたよ、多分七、八人くらい」

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作者名:褪紅 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年5月17日 7時

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