魔天使マテリアルエピソード2nd ～揺らぐ陽炎～ (ページ13)

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4.悪魔の悪戯ページ13

携帯電話の音でリオは目を覚ました。

「はい」

寝ぼけ眼で電話にでると、聞き慣れた大きな声が耳に響いた。

「りっくん！ヤバい、悪魔が出た！一応下級(ザコ)の分類だろうけど、デカイ！川の橋んとこ、解る？朝からごめん、急いで！……うわっ」

電話はそこで切れた。

気づくともう、夜から朝に変わっている。

「ね、姉ちゃん！」

「ん……どうした？」

慌ててルナを起こし、リオは急いで羽衣川の河川敷に向かった。

☆ ☆ ☆ ☆

「流音ちゃん！」

リオとルナが駆け付けると、湧希はもう戦っていた。

「りっくんなっちゃん、気をつけて！こいつかなり強い！」

その悪魔は人の姿ではなかったが、人型と言えなくもない形状のどす黒い肌をしている。

「なんだこいつ」

ルナは相手を見極めるかの様にその悪魔を眺め回した。

「流音達は劣勢らしいな」

だれにともなくルナは言った。

流音が徐々に川から離されていくからだ。

水のマテリアルである流音は、水の近くの方が有利なのである。

「じゃあ流音ちゃんは攻撃できない……？」

加勢するべく相手を伺いながらリオは不安な顔をする。

だが、

「りっくんそこ！頭上注意！」

という声が飛び、リオが見上げると共に大きな水の弾丸が川から飛び出した。

「やっぱ遠いと攻撃力が…」

今が全盛期の流音だが、やはり長時間水から遠いところで戦うのは辛い。

「危ない！」

悪魔から繰り出された攻撃を湧希が風の盾で防ぐ。

「バカお前ちゃんと攻撃防げよ！」

湧希が声を荒げた。

「ごめん、力入んなかった！」

「おい流音、もうやめろ！」

ルナが流音を無理矢理押し倒し、代わりに入る。

「光よ！敵を貫く鋭き矢となれ！」

「風よ、鋭き刃となれ！」

湧希とルナが攻撃を仕掛けるが、悪魔には一向に攻撃が届かない。

悪魔がちょこまかと動いて避けるからだ。

次の攻撃に備えるべく、ルナが後ろに下がる。

「はあっ、はあっ……」

ルナ達より前に来ている上、まだ力も技も発展途上の湧希は早くも限界に達している。

「シャアァァア！！」

気味が悪い声で悪魔が攻撃してくる。

「うわっ………っ」

湧希に擦り、服が破けて薄っすらと血が滲む。

「湧希くん！」

リオも湧希に代わって悪魔の前に立った。

(僕の力は弱い。体力もない。姉ちゃんだって限界が近い……)

(そうだ、僕には………)

闇の力がある。

アーターとの戦いの後、疲れを感じていない。

もしかしたら……