揺らぎ【赤】

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翌日、ナカムラを名乗るものからメッセージが来て、昨日撮った写真が送られてきた。

そこでようやく、友達追加されたことを知る。

彼からは意味深なメッセージ。


umi絶対俺の名前で検索しちゃだめだよ?
umi絶対に!



そんな大きな釣り針を見せなくても、と思いながら素直にナカムラカイトで検索し、彼の思惑通り、一通り情報を得てしまった。
ウミくんは、某事務所のうみくんで、うみんちゅで。


もちろん、あの彼も同じグループとして活動していることを知ってしまう。
うみくんの隣、中央で笑顔を見せる彼。


あぁ、なんだかコーヒーがまずい。
舌の上の苦みが、いつまでも残っている。


うみくんに一言メッセージを送る。


A絶対に野球選手だと思ってた、やっぱりね。



すぐについた既読は、爆笑のスタンプで返された。



umiツーショット撮っちゃったから、Aも共犯ね



「脅しじゃん…」



思わず声に出してしまって笑いがこぼれる。
タップして開いた写真は、どうにも言い逃れできないほど、はっきりと二人の顔が仲睦まじく映っている。


もし彼を売れば、私の人生も終わる。
私の一般人という盾も、友人だという言い訳も、この時代のSNSの前では無力だろう。
テキトーそうに見えて、そんな恐ろしいことをやってのけていたなんて。



…大変なんだろうな。
急に気の毒に思ってしまって。
そう思うとなんだか納得して、許してしまいたい気持ちになった。



初めて出会ったあの貸し切りフロア。

あの場はきっと知り合いのみで構成されていて、それでも警戒しないことはできなくて。

自由に飲んだり友人たちと騒いだりできるのは、ああいった貸し切りの場でしか叶わないのかもしれない。



そんな彼らの世界を知ってしまった高揚感と、もう戻れないという恐怖感がじわじわと肺を満たしていく。


それでも進みたいと思ってしまう私を、未来の私は許してくれるだろうか。




嫌だな、あれからずっと彼のことばかりを考えている。

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