揺らぎ【赤】

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宮近くんが見当たらない。

迷って、光が漏れる部屋に入った。

寝室だった。




携帯の光だけが、ベッドに腰かける彼の顔を照らしている。

遮光カーテンの隙間から漏れる朝日と、ほの暗い間接照明。

早朝に溢れ出る不健全さに溶け込むには、まだ羞恥心が残っていた。



宮近くんのまとう独特な雰囲気。

少年っぽい見た目なのに、どこか斜に構えていて、眠たげな色気。

いつまでもこの薄暗さが似合う彼を、この孤独を繰り返す彼を。

救ってあげたいと思うけれど、一緒にダメになるのも悪くないと思ってしまう、彼となら。

なぜか目の奥がツンとした。


絶対にハマってはいけない存在なのに。だから。こんなにも惹かれてしまうのだろうか。

引き寄せられるように近づいていく。



「おなかすかない？」
『うーん、ふつう』



携帯から目を離さないと思っていたら、いきなり腕を引かれてベッドに座り込んでしまう。



そのまま自然な流れで、首と頭の境目あたりをグッと引き寄せられる。


チュッと音が鳴るようなキスを数回。



息がかかる距離で『いい？』と確認された。



下唇をぺろっと湿らせるのをじっと見てしまう。




確認するんだ。

求められて、断れるわけないのに、そんなの。

胸がギュッと切なくなる。

どうしようもなく、欲しくなってしまう。



「シャワー…」
『あー、』



聞いているような、いないような返事。

首筋に三回吸い付くようなキスが降ってきて、思わず彼の腰に手を回した。

髪の毛が当たって少し擽ったい。

欲を知らせるような唇の動きに、もっと、と求めるように応えてしまいそうになる。



また思考が鈍ってきたと感じた瞬間、彼はふっと離れた。

子供みたいに頭をポンポンっとされる。



「...着替え、貸して？」



私がそう言うと、名残惜しそうに立ち上がった。

申し訳程度の延命措置を、受け入れてくれるみたいだった。

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