揺らぎ【赤】

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そして、その予感は的中していた。

四人の飲み会は、とある居酒屋の個室だったり、バーだったり。
色々な場所で頻繁に行われるようになり、気が付けば、彼らと知り合ってから一カ月が経とうとしていた。


宮近くんとは、偶にメッセージを送りあったり、短い電話をしたりする。
その度に、飾らない彼の魅力を知っていく。



今日はいつも通り、ミツキくんのお家に集合なのだけど、
サヤカちゃんは、よく使っているアプリに無いお店のハンバーガーが食べたいとのご要望。

それはミツキくんの家から、少し離れたところにあるお店だった。


ってことで、ちゃか車で迎えに行かせたから!飲み物はこちらで用意します、ドライブデート楽しんでね


家を出ようとした時に、メッセージを受け取る。
十分に理解もできないまま、宮近くんから電話がかかってきた。

もう準備は出来ていたけれど『マンションの前に居る』と言われたら、誰だって心臓の飛び出るほど驚いてしまうだろう。

二人きりなんて、いつまでたっても慣れないのに。







『出発しまーす』
「ごめんね、下で待たせて」
『いや全然、Aちゃんも急がせてごめん』


サヤカも早く言っとけよな。そう笑いながら、片手でカラーサングラスを引き上げる。

迷ったけど、助手席に座ってしまって大丈夫だったのだろうか。


『今日は、ついて来てなさそうだから大丈夫、信じて』


不安そうな私を見て、そう一言。
こうやって敏感に気付いてくれるところも、彼の魅力だと最近気が付いた。


『でも、これ一応被っててね』


そう言って後部座席から帽子を取り出して、手渡された。
彼がよく被っている黒のバケットハット。

男性も女性も使えるようなデザインで、似合っているなと思っていたけど。
実際に被ってみると、嬉しさと共に複雑な感情に襲われた。


今までどのくらいの女性が、彼の隣に座ることを許されて、こうして帽子の隙間から運転する横顔を盗み見たのだろう。


ドライブデート。サヤカちゃんはそう言ったけれど、今隣に座っている私は、紛れもなく彼の友人だった。



信号待ちで、彼女の手をそっと握っているところを想像する。

宮近くんはきっと、自分からやったくせに照れて無言で、彼女はそんな姿をからかう。

そうしたら、うるせーよって笑顔を向けながら、愛しさを込めて、指を絡めて、ぎゅっと握り直すのだろうか。

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