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暗闇の中に、微かな息遣いだけが聞こえる。
火照る体、染まる唇。
先程までうるさいほど響いていた肌と肌の擦れ合う音。
俺はついに、姫崎さんに手を出してしまった。
情事が済んで、姫崎さんはもう夢の中。
まだ体に残る熱で寝付けなくて、少しだけ、と下駄を履く。
涼しい夜風に当たれば熱も冷めるやろ。
からころと音を立てる下駄。
しんと静まりかえった江戸の街に、その音だけが響いていた。
・
あの一晩から数週間かして。
俺は父親に呼び出された。
まさか、姫崎さんがばれた？
悶々としたまま、言われるままに父親に着いていく。
「 良規、ちょっと話がある 」
正門 「 はい、 」
「 俺達も香子さんのしていることは分かっている。 」
「 だけど、ここで切っては向こうの経営が怪しくなる 」
「 何があっても、離縁だけはしないでくれ、頼む。 」
正門 「 はぁ… 」
呆れ声ひとつ、口をついて出て、空気に溶けていった。
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ゆず(プロフ) - とっても面白いです！素敵な作品をありがとうございます︎ ︎；；更新を楽しみに待ってます♪ (2023年3月3日 14時) (
レス) @page8 id: 8fa11345d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈴川ゆら | 作成日時：2023年2月27日 20時
