S.tiger【病系短編集】16

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Side海人


海「…やっぱ、もうちょっといたい。」

如「え…。でも、今日はもう休んだ方がいいよ。海人、苦しそう。」

海「でも、」

如「大丈夫、また来れるよ。」

海「…ほんと？」


ほんと、と頷きながら、如恵留くんがまた俺の前にしゃがむ。なぜか、嬉しそうな顔で笑っていた。



如「海人の楽しそうな顔見れて、俺すっごく嬉しかった。こんな幸せな気持ちになれるんだもん。もう、何回でも連れてきたくなっちゃうよ。」

海「…ほんと？俺と出かけるの、恥ずかしくない？大変じゃない？」

如「全然！……あ。でも、強いて言えば、ファッション好きの海人に着いていくのは結構大変かな(笑)。」


そう言って、如恵留くんがクシャっと笑う。それにつられて、俺も小さく笑った。



海「…俺、こんな体だけど。でも、やっぱり好きだなって思った。足がなくても、それできれいなシルエットのパンツとかは着こなせなくても、俺は服が好き。自分の好きな服着て、もっとワクワクしたい。」

如「…うん。それでいい、それがいいよ。」

海「あとね、俺、如恵留くんの服もいつか一緒に選びたい。如恵留くんが最高にかっこよく見える服、いつか俺が選んであげる。」


え、と如恵留くんがかすれた声を出して、目を見開く。何回かまばたきをして、如恵留くんはそっぽを向いてしまった。



海「え、嫌だった？」

如「ちがっ、嬉しくて……」


どうやら、如恵留くんはだいぶ涙腺の緩い人らしい。新しい発見だ。



海「もう！なぁんで泣くの！(笑)」

如「だ、だって、海人、あんな赤ちゃんだったのに。それが、こんな……」


いつの話してんだよ、なんて笑いながら、如恵留くんの背中をさする。



海人が来てくれてよかったなあ、なんてうるんだ声を聞きながら、如恵留くんが見ていないすきに俺もほんの少しだけ泣いた。
















「君に似合う服を」fin.

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