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宮「…っ！うっ、うぅ…、うあぁあ！」
大きな、本当に大きな声を絞り出して、海斗は大きく体を反らせた。海斗の視界に入りたくて、俺は暴れるように動く体を必死に擦りながらその顔を覗き込んだ。
閑「楽しかった？ねえ、楽しかったって、言ってくれたの？」
宮「うぅ、う゛、あぁ…！」
海斗の両目に、綺麗な涙がたまっていく。本当に苦しそうな声なのに、俺にははっきりと「楽しかった」と言ってくれているように聞こえてしまった。
閑「…海斗、海斗っ！」
俺の目からも、涙があふれだしていた。涙は流しつくして、もうかれたと思っていたのに。
違った、まだ残っていた。しかも、悲しい涙じゃない涙を流せるとは思わなかった。
閑「海斗、ありがとう…！」
海斗の顔が、色を失っていく。激しく震える体は、もうベッドから落ちそうだ。
ハァハァ、と速い呼吸が、弱く細くなっていく。開いていた目が、だんだんと細くなっていく。
一瞬だけ、海斗と目が合った気がした。海斗がふっと、優しく目を細めて、目尻に一筋涙の線が描かれる。
そのまま、海斗の目は静かに閉じられた。
閑「海斗っ…！」
震えが止まってだらりと力の抜けた体を、俺は夢中で抱きしめた。長く苦しみつくした、小さくて愛おしい体だ。
俺は、海斗のことが好きだった。家族愛でもないし、恋愛でもなければ、友情でも何かが足りない。分類はわからないけど、でも、好きだった。
だからこそ、たくさん間違えたんだ。表裏で考えるなら、俺が海斗にしたほとんどのことは裏目に出ていたんだと思う。好きだから、正しさをはかる普段使いの物差しを俺は失くしてしまった。
でも、その分全部が特別だ。何気ないおしゃべりも、海斗の笑顔も、全部が少しも色あせない特別な花。
閑「……海斗と、一緒に生きれてよかったっ。」
最期の涙が、咲きたての花みたいに瑞々しい海斗の顔に落ちる。
窓の外に見える赤色灯は、あの日見た花火と同じ色をしていた。
「枯れない花」fin.
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あお - 「次の春へ」のちゃかまちゅ兄弟が気になります！日頃の2人の姿を読んでみたいです！よろしくお願いします！ (2023年1月20日 12時) (
レス) id: 4bc40c5a3e (このIDを非表示/違反報告)
みちゃ(プロフ) - こんばんは！私は、うみげんの「チョコよりあまい」「音のあふれる世界」の続きを1つのお話として読みたいです！ご検討いただけたら嬉しいです♪おさとさんの書かれるお話がどれも大好きなのでこれからも応援してます！ (2023年1月16日 0時) (レス) id: 5dc2b1fc33 (このIDを非表示/違反報告)
tenpesuto(プロフ) - 私はのえんちゅの兄弟設定が好きなので、どのお話も好きなのですがよろしければ傷の続きや、過去のお話が読みたいです。 (2023年1月15日 21時) (レス) id: fc1fa02c30 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - 書いていただけると嬉しいです！ (2023年1月15日 20時) (レス) id: b38a957dc4 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - こんばんは！とても良い案だと思います！どれもいいのしかなかったのですが、のえんちゅの話をもっと見たい、と言うのがやっぱりあるので、のえるくんの精神的な苦痛(確か９くらいのところの、元太くんとのお話だったと思います)の話で、助けてくれる相手を海人くんで (2023年1月15日 20時) (レス) @page50 id: b38a957dc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おさと | 作成日時：2022年12月11日 20時
