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●枯れない花(赤×黄) ページ39

ちゃか×しず



・ことり様リクエスト



・notリアル設定(脳性麻痺とてんかんの病気を抱える海斗と、幼馴染の閑也のお話)



S.tiger【病系短編集】11「涙の花束」、S.tiger【病系短編集】12「灯火」、S.tiger【病系短編集】14「刹那」に続くシリーズのお話です。

















窓を開けると、ピリッと冷たくて乾いた空気が顔を突き刺す。冷気がすっかり染みこんでしまった洗濯物を取りこもうとしたとき、部屋の奥からアラームの音がした。







閑「今行くから、ちょっと待ってな。」





洗濯物を部屋の中に放り込んで、窓を閉める。ベッド脇に膝をついて、吸引器を手に取った。







閑「すぐ楽になるからな…。」





そう声をかけつつ、吸引のチューブを開きっぱなしになっている海斗の口に差し入れる。ゴ、ゴ、と音がして、やっとアラームの音が止まった。







閑「…楽になった?」





頭をなでながら聞いてみても、海斗の返事はない。それどころか、海斗の表情には1ミリも変化がない。









俺が海斗の笑顔を見たのは、あの夏祭りの時が最後だ。あの時、てんかんの大発作を起こした海斗の脳には、重い後遺症が残った。





手足はいびつに強張ったかたちのまま硬直していて、首も大きく反ったまま。口を閉じることもできなくて、黒目がちな目はずっと上を向いて動かない。







つまり、今までにないくらい大きな発作を起こしたあの時の、苦しい姿のまま、海斗は何か月も過ごしてきたことになる。





そして、これからもそれは変わらない。







表情を動かすことも、まともに話すこともできなくなった海斗の「苦しい」とか「痛い」とか、そういうものを、もう俺は汲み取ってやれなくなった。





今海斗を生かしているのは、吸引器とか酸素の数値を計ってくれる機械だ。







俺は、何もできない。自分のエゴで海斗の大切なものを奪った俺は、毎日自分のしたことを後悔しながら、息だけをしている。

・→←あけましておめでとうございます!



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設定タグ:TravisJapan , トラジャ , 病系
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あお - 「次の春へ」のちゃかまちゅ兄弟が気になります!日頃の2人の姿を読んでみたいです!よろしくお願いします! (2023年1月20日 12時) (レス) id: 4bc40c5a3e (このIDを非表示/違反報告)
みちゃ(プロフ) - こんばんは!私は、うみげんの「チョコよりあまい」「音のあふれる世界」の続きを1つのお話として読みたいです!ご検討いただけたら嬉しいです♪おさとさんの書かれるお話がどれも大好きなのでこれからも応援してます! (2023年1月16日 0時) (レス) id: 5dc2b1fc33 (このIDを非表示/違反報告)
tenpesuto(プロフ) - 私はのえんちゅの兄弟設定が好きなので、どのお話も好きなのですがよろしければ傷の続きや、過去のお話が読みたいです。 (2023年1月15日 21時) (レス) id: fc1fa02c30 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - 書いていただけると嬉しいです! (2023年1月15日 20時) (レス) id: b38a957dc4 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - こんばんは!とても良い案だと思います!どれもいいのしかなかったのですが、のえんちゅの話をもっと見たい、と言うのがやっぱりあるので、のえるくんの精神的な苦痛(確か9くらいのところの、元太くんとのお話だったと思います)の話で、助けてくれる相手を海人くんで (2023年1月15日 20時) (レス) @page50 id: b38a957dc4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おさと | 作成日時:2022年12月11日 20時

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