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Side海人





目を覚ますと、コーヒーの匂いが鼻をくすぐった。重い体を起こして、部屋の中を見回す。







ベッド脇のスペースを、真新しい車いすが堂々と陣取っていた。ふざけんな、こんなものに用なんかねえ。





俺はつま先でそれを蹴ると、ゆっくり立ち上がって自分の部屋を出た。









如「海人…!気分どう?もう苦しくない?」





リビングに入ると、俺が声をかけるより先に兄ちゃんが駆け寄ってきた。大丈夫、と言えば、眼鏡の奥の目がわかりやすくほっとした色になる。







海「なんか、喉乾いちゃって。」



如「そっか…。スマホで呼んでくれてもよかったのに。」





何飲みたい?と言いながら、兄ちゃんが冷蔵庫を開ける。俺は、テーブルの上にあるマグカップを指さした。





如「コーヒーはダメ。体に良くないから。」





あっさり却下して兄ちゃんがもってきたのは、クソつまんないただの水だった。渋々それを受け取って、兄ちゃんの正面に座る。







海「卒論?」



如「あぁ、うん。まだ全然終わり見えないけどね。」





苦笑いをしながら、兄ちゃんは目の前のパソコンを閉じようとした。





海「え、いいよ。続きやんなよ。」



如「でも、そろそろ買い物行かなきゃいけないから。今晩何食べたい?」



海「…ハンバーグ。」





了解、と笑いながら、兄ちゃんが車のキーをもってリビングを出ていく。ハンバーグはどうせ薄味なんだろうな、とぼんやり思いながら、俺はその背中を見送った。









兄ちゃんは、俺にとって父親的存在でもあるし、母親的存在でもある。商社勤務で仕事一筋の両親は、かなり前から家のことをほとんど兄ちゃんに任せるようになった。





子どものうちから家事と一緒に病気の弟の面倒まで押し付けられて、兄ちゃんはどんな気持ちだったんだろう。ちょっと同情するし、俺に対して過保護になるのもわからなくもない。







だったら、もっと兄ちゃんの言うことを素直に聞けよって話なんだろうけど。





でも、それとこれとは別。俺にだって、プライドはあるんだ。

・→←●傷(緑×白)



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あお - 「次の春へ」のちゃかまちゅ兄弟が気になります!日頃の2人の姿を読んでみたいです!よろしくお願いします! (2023年1月20日 12時) (レス) id: 4bc40c5a3e (このIDを非表示/違反報告)
みちゃ(プロフ) - こんばんは!私は、うみげんの「チョコよりあまい」「音のあふれる世界」の続きを1つのお話として読みたいです!ご検討いただけたら嬉しいです♪おさとさんの書かれるお話がどれも大好きなのでこれからも応援してます! (2023年1月16日 0時) (レス) id: 5dc2b1fc33 (このIDを非表示/違反報告)
tenpesuto(プロフ) - 私はのえんちゅの兄弟設定が好きなので、どのお話も好きなのですがよろしければ傷の続きや、過去のお話が読みたいです。 (2023年1月15日 21時) (レス) id: fc1fa02c30 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - 書いていただけると嬉しいです! (2023年1月15日 20時) (レス) id: b38a957dc4 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - こんばんは!とても良い案だと思います!どれもいいのしかなかったのですが、のえんちゅの話をもっと見たい、と言うのがやっぱりあるので、のえるくんの精神的な苦痛(確か9くらいのところの、元太くんとのお話だったと思います)の話で、助けてくれる相手を海人くんで (2023年1月15日 20時) (レス) @page50 id: b38a957dc4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おさと | 作成日時:2022年12月11日 20時

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