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Side宮近
松倉の家族が、しばらく家を留守にする。
そう聞いたとき、不謹慎かもしれないけど、俺たちは「チャンスだ」と思ってしまった。声には出さなかったけど、みんなそういう顔をしていた。
事故に遭って目が見えないことが分かってから、松倉は一度も俺たちに会ってくれなかった。面会謝絶ってやつで、結局一言も声を聞けないまま松倉は実家に戻ってしまった。
だから、ずっと会いたかったんだ、純粋に。会って話がしたかった。
松倉の家族に連絡を取って、松倉が1人になってしまう2日間だけ、6人全員でお邪魔させてもらえることになった。初日は俺だけが泊まって、次の日に他のメンバーも集まる。
今日が、その日だ。
宮「あいつら、そろそろ着くってよ。」
倉「ん?…あぁ。」
かぶりついてたパンを口から離して、松倉が生返事をする。変な間があったのは、食べてる途中だったせいか。
しばらく適当な話をして朝ご飯を食べていると、インターホンが鳴った。松倉が、壁伝いにゆっくり玄関に向かう。
元「よっ、おひさ!」
海「お前さ、もっとましな挨拶ないの?(笑)」
ドアを開けた瞬間、静かだった空間が一気に騒がしくなった。次々なだれ込む足音を聞きながら、俺も玄関に出る。
宮「ようこそ、いらっしゃい。」
元「は?ここお前ん家じゃねーから。なんなら、俺の方が詳しいし。」
謎の対抗心をむき出しにした元太を先頭に、メンバーが家の中に上がる。松倉は戸惑った様子で、まばたきをしながら立ち尽くしていた。
宮「松倉?大丈夫?」
倉「……ねえ。みんな、どんな顔してる?」
宮「顔?…まあ、いつも通りだよ。多分松倉の想像通り、ふざけた顔してる(笑)。」
そっか、と頷いて、松倉が目を閉じる。
うるせえなあ、とつぶやく顔には、今朝までなかった笑顔がほんのり浮かんでいた。
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あお - 「次の春へ」のちゃかまちゅ兄弟が気になります!日頃の2人の姿を読んでみたいです!よろしくお願いします! (2023年1月20日 12時) (レス) id: 4bc40c5a3e (このIDを非表示/違反報告)
みちゃ(プロフ) - こんばんは!私は、うみげんの「チョコよりあまい」「音のあふれる世界」の続きを1つのお話として読みたいです!ご検討いただけたら嬉しいです♪おさとさんの書かれるお話がどれも大好きなのでこれからも応援してます! (2023年1月16日 0時) (レス) id: 5dc2b1fc33 (このIDを非表示/違反報告)
tenpesuto(プロフ) - 私はのえんちゅの兄弟設定が好きなので、どのお話も好きなのですがよろしければ傷の続きや、過去のお話が読みたいです。 (2023年1月15日 21時) (レス) id: fc1fa02c30 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - 書いていただけると嬉しいです! (2023年1月15日 20時) (レス) id: b38a957dc4 (このIDを非表示/違反報告)
かおり - こんばんは!とても良い案だと思います!どれもいいのしかなかったのですが、のえんちゅの話をもっと見たい、と言うのがやっぱりあるので、のえるくんの精神的な苦痛(確か9くらいのところの、元太くんとのお話だったと思います)の話で、助けてくれる相手を海人くんで (2023年1月15日 20時) (レス) @page50 id: b38a957dc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おさと | 作成日時:2022年12月11日 20時