S.tiger【病系短編集】16

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Side宮近


マネージャーに連れ出された５人と入れ違いに、如恵留が来て俺の前に片膝をつく。揺れる視界の中で、如恵留がゆっくりと口を開いた。



如「大体の確認はもう終わったから、心配しなくていいよ。今は他の人がリハーサルしてる。」

宮「…ごめん、迷惑かけた。」

如「こういうのはお互い様でしょ。体調は？今どう？」

宮「平気、だいぶ良くなった…。」


安心してほしくて、必死に笑顔をつくる。如恵留は、そんな俺を見て小さく笑った。



如「無理しなくていいから。その笑顔は、本番に取っといて。」


さっぱりとした口調なのにどこか優しくて、目の前が少し潤み始める。震えが止まらない口から、考える前に本音がこぼれていた。



宮「……本番で、倒れたらどうしよう。」


いつもは吐かないようにしてる弱音に、如恵留も俺自身も少し戸惑っていた。こういうとき、ほとんどの言葉は気休めにもならない。それをわかってるから、如恵留もかける言葉に迷ってるんだろう。


これ以上困らせたくないのに、それでも俺の口は止まってくれなかった。



宮「立ち位置もカウントも、ミスるかもしれない…。」

如「…ちゃか、それは大丈夫だよ。ちゃかのいるところがセンターだから。俺たちが責任もって全部合わせるし、カバーもできる。ちゃかは、いてくれるだけでいいよ。」



いつの間にか戻ってきた他のメンバーも少し離れた所にかたまっていて、うんうんと頷いてる。


もう、これ以上グズグズしてられない。




宮「…行こう。」


堂々と、前を向いて言葉を押し出す。立ち上がろうとする俺の周りに、大げさなくらいの勢いでメンバーが駆け付けてくれた。

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