緋色の眼 (ページ32)

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今、目の前に写るユウの思いは実に傲慢だ。
まさに僕の知っている人間の様に…

けれど僕は、、

『、、…』

それがとても…

「美しく」「綺麗」だと心から感じてしまった

ユウ「…僕の事嫌いになりましたか？」
悲しそうに眉を下げながらユウは言った。

そんなユウの顔を見て僕の胸が締め付けられた

同情している訳では無い。
だからと言ってユウを可哀想とも思ってない。

『…』

こんなに胸を締め付けられたのはあの日以来…
でも、何故か悪い気はしない。

もしかしたら僕は

人間を愛していると言う事を

きっと理解したくなかったんだろう。

もし、理解してしまったら僕がこれまで受けた数々の痛みが全て無かった事になる…

だから。

人間への憎しみを忘れないように、、
あの日の後悔をもう一度繰り返さないように…

人間が嫌いだ。

そう、口にして僕が僕自身を操っていたんだ。

だから人間達が楽しそうにしているのを見ていると心の中がざわついていたんだ。

『いや、、その逆だ』
僕は紅茶を置いてユウに近付いた。

ユウ「？？」

『ありがとうユウ』

(この気持ちを気付かせてくれて。。)

ユウ「…ｸﾞｽﾞｯ。はい。」
ユウは涙を流しながら僕の冷えた手を握った…
僕の手はすっぽりユウの手に包み込まれて少しユウが頼もしい様に思えた。

『泣くな。』

僕は、まだ完全に人間を許した訳では無い。

でも、この気持ちを気付かせてくれたユウだけなら信じても良いかもしれない…

ユウ「嫌われたかと思いました…ｳｩ」

『ﾌﾌ、大丈夫だ。』

ユウ「本当ですか？」

『ああ、』

グリム「全くオレ様の子分は泣き虫なんだｿﾞ」
ｸﾞｽﾞｸﾞｽﾞと泣いているユウの肩にグリムは乗っかった。

ユウ「だってｸﾞｽﾞｯ」

僕は今まで僕を思って泣いてくれる人なんて誰1人として見た事は無かった。

だから今、泣いているユウに何を伝えれば良いのか正直言って分からない…

でも、、

ユウが僕の話を聞いて、涙を流してくれる。

それは僕にとって凄く幸せな事……
人の暖かみを初めて知った僕は幸せ過ぎるのかも知れない。

『ユウ、グリム少し僕に付き合ってくれないか？』

ユウ「ｸﾞｽﾞｯ…？？」

グリム「何処に行くんだｿﾞ？」

『良いから付いてきて』

僕はユウの手を引っ張りながらオンボロ寮から出ると、、

星空が空いっぱいに広がって凄く綺麗だった。