家なき子 ページ2
「どうしよー…」
スマホ片手に不動産会社を後にする。
ここもダメだった。
目星を付けた物件が尽く決まってしまっていたり予算オーバーだったりでなかなか決まらない。
よりによってどうしてこの引越しシーズンの時期に前触れなく言うんだろう。
あの両親の凄まじい行動力は羨ましい反面、ああはなれないなと思う。
普通の人間はもう少し慎重に考え、色々と手筈を整えてから行動するものなんだけどうちの両親はそういう「一般的な行動規範」からはかなり逸脱している。
だから飛び級してエリート街道まっしぐらの父と大学に入学した次の日語学を学びたいと海外に飛んだ母が飛行機の中で出会って恋に落ちたという馴れ初めも物凄く納得がいった。
ごく普通の感覚を持った私が生まれたことだけが不思議で。
見た目も中身も頭の中も中の中。
親が立派だと子供は立場がない。
“ご両親は立派なのに…”
何度も言われてきた言葉。
子供の頃はそれに傷付いたりしてたけど。
次第に諦めというか、「この世には持って生まれたものが沢山ある人とない人がいる」という事実に気付いて少し楽になった。
それなら開き直り、親の七光りを使えるだけ使って楽して生きていこうと思っていたのに。
「来月って…もう時間ないじゃん」
今は9月の中旬。
秋夕で休みが入るから私に残された時間はせいぜい1週間余り。
それまでに新しい住まいを決めて、契約と引っ越しを終わらせなければ来月からホームレスだ。
少し休もうと向かいにあった喫茶店の扉を開ける。
小太りの優しそうなおじさんがカウンターから笑顔で出迎えてくれた。
「コーヒー、アイスで」
店内は私以外にお客は居なかったけどなんとなくカウンターに座った。
ただでさえ切羽詰まった状況だというのに端っこのボックス席に座った暁には不安に押し潰されて泣いてしまいそうだった。
？？「お疲れですねぇ」
深いため息をつくとまん丸眼鏡のおじさんがキンキンに冷えたアイスコーヒーを出してくれる。
「実は…引越し先を探してるんです、かなり急ぎで」
温和な雰囲気が警戒を緩め私の口を開かせる。
？？「ほう…詳しく聞いても？」
有り難い。
この人には悪いけど、今の私は誰かに愚痴って発散しないとやってられない。
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ピョル☆(プロフ) - 優里さん» ありがとうございます💕コメント励みになります！これからも楽しんでいただけると嬉しいです😌💜 (2021年12月9日 0時) (
レス) id: 49ff88afc5 (このIDを非表示/違反報告)
優里(プロフ) - 初めまして。すごく面白くて更新楽しみにしてます！こんな素晴らしい作品初めてです！応援してます！ (2021年12月8日 14時) (レス) id: 72a635a728 (このIDを非表示/違反報告)
ピョル☆(プロフ) - きーさん» こちらのミスで続編が出てますが次の更新のタイミングでパス外すのでもう少々お待ち下さい😌 (2021年12月8日 1時) (レス) id: 49ff88afc5 (このIDを非表示/違反報告)
きー - 続きが見たいんですが、どうすれば見れますか⁈ (2021年12月8日 1時) (レス) id: 235a2ef37a (このIDを非表示/違反報告)
ピョル☆(プロフ) - 凛音さん» ありがとうございます💜これからも楽しんでいただけると嬉しいです💕 (2021年12月8日 0時) (レス) id: 49ff88afc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピョル☆ | 作成日時：2021年11月23日 13時
