こんな俺らでも。 (ページ15)

今日:31 hit、昨日:101 hit、合計:643,787 hit

さくまのおはなし。ページ15

・

桃side

何年もかけてこの視野しか捉えられなくなってしまった俺。

視野狭窄って数年かかって段々視野が狭くなっていくパターンと
1、2年で進行速度が早いパターンとある。

数年かかった俺は気づくのが遅くてもう手の施しようがない。

メガネかけてるけど、そんな変わんない。

視野が狭いから外を歩くのが怖い。

横断歩道を渡る時、
歩行者側が青でも信号無視の車が来たら気づけない。

右に曲がろうとして誰もいないことを確認したはずなのに、視界の外から来た自転車と事故りそうになったことだってある。

基本的に見えてはいるから

点字ブロックを杖付きながら歩くことはない。

ただ少し変わったメガネをしてるだけ。

だからこそ俺の障害は周りから気づかれない。

高校のときもみんなとは違う物珍しいメガネかけて登校してたから、

「なんだそれ〜」

って笑いものになってた。

元々いじめられっ子だった俺。

それがエスカレートしていったキッカケがこの病気だった。

最初は教科書が隠される程度の地味なもの。
次は靴、上履き、体育着…

趣味が合う仲のいい友達もだんだん離れていって、

いじめっ子の位置についていた。

極めつけはメガネを隠されたこと。

今となっては余り変わらないって言ってるけど
高校生の時はメガネがあれば結構視野が広がって。

メガネがないと不安で不安で仕方なかった。

メガネがなくなったとわかってすぐに職員室に向かった。

担任はわかってくれる人だったからそこは有り難かった。

「教室に戻らずに保健室で待ってて」

と言ってくれて、保健室で待機した。

メガネは担任のおかげで取り戻せたし、

主犯のいじめっ子たちは処分をくらったらしい。

そのいじめっ子たちが処分をくらったからって
俺が過ごしやすい学校になるわけもなく…

相変わらずひとりで過ごすし

目も悪くなる一方だし

全てが嫌になった

その時に作った複数の “キズ” は今も残ってる。

俺が夏でも長袖なのはそれが理由。

今は春。
メンバーとなった8人にバレるのも時間の問題かな。

バレたら学生時代の友達みたいにみんな離れていくんだろうな。