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彼の最後の言葉がちゃんと聞こえず、
料理が運ばれてきたタイミングと重なり、
聞き返す事を諦めた。
…なんか、飯食ってる場合じゃねー気がする。
如何にも食欲を掻き立てる様な
大好物のオムライスにも目もくれず、
黙って兄貴を見つめていたが
彼は何も気にする事無く、熱々のハンバーグを
もぐもぐと頬張っていた。
俺は意を決して尋ねた。
「…なぁ、本題って何だよ。
言いたい事あるなら、ちゃんと言えって。」
その言葉に兄貴は一旦全ての動作を止め、
鋭い目付きで俺を見つめる。
「じゃあ、単刀直入に言うけど…
もうさ、A目の前から消えてくんない？」
それは粗方予想していた言葉だったが、
彼は畳み掛ける様に話し始めた。
「先輩はオレらが居るこの【夜の世界】ってのを
全然分かってない。
…てか、覚悟が足り無さ過ぎるんだよ。」
「覚悟…？」
「あのね？この【夜の世界】で働くって事は
自分の人権なんてモンは無いの。
客にも店にも使い捨ての様に扱われる。
高い報酬を受け取る為には
それなりにリスキーな事もしなきゃなんない。
ましてやAに至っては、
好きでもないオッさんとキスして
身体中触られて舐められて、
気持ち良いフリして給料貰ってる。
Aはまだちゃんと自己管理してるけど
性病のリスクだってあるし、
…誘惑だっていっぱいあるんだよ？
先輩より金持ってて器の大きい奴なんて
ごまんと居るんだから。」
「昼の世界」しか知らない俺は「夜の仕事」の
非情な実態に衝撃を受けたのと同時に
Aの仕事を生々しく、
はっきり面と向かって教えられた事で
リアルな情景が浮かび上がり、
嫉妬で頭が狂いそうになった。
でも…それは全て、確信を突かれていたんだ。
俺がこの頃、頭を抱えていた内容全てが
当てはまっていた。
Aの仕事
そして、
それをしっかり責任をもって受け止め、
ありのままの自分の気持ちをさらけ出す事
Aのお陰で夜の仕事には偏見は無くなったが
彼女への愛情が膨らめば膨らむ程、
風俗という仕事をしている事に
１００%全てを理解出来なくなっている。
彼女が好きだから。
大事にしたいからこそ…
俺と出会う前に彼女なりに相当な覚悟で
始めた仕事にあれこれ言うのは違うのも
分かっていたが、
自分にも嘘を付きたく無い。
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さっく(プロフ) - さとあすさん» コメントありがとうございます。すぐに曲聞かせてもらいましたが、凄く歌詞が重なる部分が多くて驚きました！(曲自体存じ上げておらずすみません…)さとあすさんで楽しみながら読んで頂けてとても嬉しいです！ (2019年12月15日 1時) (
レス) id: be153e5367 (このIDを非表示/違反報告)
さとあす(プロフ) - 初めまして。カズの想いが髭男のプリテンダーと被って聴きながら読むと切なさ倍増でした。引き続きお話の世界に浸りたいと思います。次章の展開も楽しみです (2019年11月7日 21時) (レス) id: 43543e029e (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 大変な環境の中更新ありがとうございます。展開的にドキドキたまに涙しながら読んでいます。相葉担さんなんですね！うちの翔さんを素敵に書いてもらえて最高です！もうすぐ完結するのは寂しいですが、結末が楽しみです！続編があるって聞けて嬉しいです。応援してます。 (2019年4月10日 7時) (レス) id: c24168ecda (このIDを非表示/違反報告)
さくりんぼ(プロフ) - 初めまして！こんばんは。いつも楽しみに拝見させていただいています。毎回更新が待ち遠しいです笑。更新される度ニヤニヤしながら読ませていただいてます。次の更新も楽しみにしていますね！ (2019年4月3日 1時) (レス) id: 4b29bf2551 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - さっくさん、こんにちは。主人公ちゃんの兄妹のことうまくいってほんとよかったです。今日の更新は櫻葉の絡みだったので、櫻葉好きの私はもうニヤニヤしながら読ませて頂きました。さすが相葉くんの優しみアドバイスですね。次の展開も楽しみにしてますね。 (2019年3月25日 14時) (レス) id: d68d4105ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さっく | 作成日時：2019年3月15日 23時
