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彼女はそんな人生から逃げもせず、
むしろ新しい環境への用意を着々と進めていたんだ。
これだけ一緒に居たから、行動は全てお見通し。
毎日様子を見に行く度に
少しずつ部屋の荷物が片付けられていき、
クローゼットに真新しいスーツケースを
隠していたのも全部知っていた。
オレは今まで生きてきた中で一番ショックだった。
Aはオレと居る事より
自分の人生を歩む事を優先させてるんだ。
これからもずっと離れず、一緒に居るんだと
思ってたのに…
Aを手離すなんて、絶対にしたくない。
毎日、自分の思いと彼女の未来に対して
葛藤し続けた。
でも、最寄り駅でこれからオレの元を去る彼女を
待っている時、ふと気付いたんだ。
…手離したくないならオレが近くに行けばいい。
そして、変わらずAを守り続けるんだ。
道路の向こうの方から
重たそうにスーツケースを引っ張る姿が見えた。
彼女はこうやって一歩ずつ
自分の未来を歩き始めている。
弱い自分も引っ括めて前を向いている。
オレに明るい毎日を見せ、
暗い闇から救ってくれたのはAだ。
だったら、今…彼女を引き止める事は間違ってる。
オレは切ない気持ちを隠して
優しい笑顔で、彼女を送り出した。
Aと離れた毎日は本当に寂しくて
今まで見ていた景色は全てモノクロになり、
出会う前の魅力の感じない生活に戻った。
でも、Aからの連絡が
何よりの支えで唯一の楽しみだったよ。
最初の頃は『…寂しいよ、カズ…。』と
悲しそうに言っていた彼女も
少しずつ向こうの生活にも慣れていき、
いつもの調子を取り戻していった。
Aから今の仕事に就くと宣言された時は
正直かなり衝撃的だったけど、
敢えてそれを選んだ理由も分かっていて、
夜の仕事に偏見は無かったから
…あの性格じゃ、止めても無駄だな。と
全てを受け入れ、見守った。
でも仕事柄、心配な事も多かった為
一日でも早く行ける様にと
バイトも増やして貯金を貯め、
Aと離れて１年くらいで
大阪に向かう予定だったのに、
直前で母ちゃんの容態が悪くなり、
治療費も大幅に増えた事で
なかなか思うようにはいかなくなった。
２２歳の年末辺りに担当医から、
もう大きい病院へ移って
手術するしかもう手は無い。
しかし、その為には手術までの間は
薬で症状を調整しながら
順番待ちをしてもらう事を理解して欲しい。と
言われたが、母ちゃんの命が助かるなら…と
条件を飲み込み、二つ返事で了承した。
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ゆき(プロフ) - コメ返ありがとうございます。本当に大好きな作品です。実は私のお誕生日に櫻井さんのお誕生日のお話だったので、とっても感激してたんです。またシリアスな展開になって大変かと思いますが、更新を楽しみにしてますね。主人公ちゃんがんばってほしいです。 (2019年3月14日 11時) (
レス) id: d68d4105ec (このIDを非表示/違反報告)
サフィア(プロフ) - ついこの間この小説の存在をしって一気に読みきっちゃいましたっ。すごく大好きになりましたし、文章とっても大好きです。更新楽しみにしてます！ (2019年3月6日 14時) (レス) id: 34b00c4705 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - さっくさん、更新をいつも楽しみに読ませて頂いています。というか好きすぎて何度も読み返してます。櫻井さんと主人公の関係にキュンキュンドキドキしながら、時に切なくて涙無しには読めません。これからも更新を楽しみにしてますね。 (2019年3月4日 14時) (レス) id: d68d4105ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さっく | 作成日時：2019年2月25日 18時
