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「…この子供、Aと兄貴じゃね…？」
私の隣で写真を覗き込む櫻井さんが言った。
確かに男の子の方はカズにそっくりで
ひょうきんな顔で笑っている。
そして、反対側の小さな女の子は
私に似てはいたが表情は堅く口を一文字にして
真っ直ぐカメラを見つめていた。
写真の背景は神社にある鳥居の様な赤い柱が
３人の後ろに佇んでいて、
その傍には提灯が並び、法被を着ている
知らない子供達も写っている。
…どこかのお祭り？
『こんなの、撮った記憶無い。』
「いや、でもお前そっくりだって。
色の白さとか、ちょっとキツそうな顔とか…
そのまんまだぞ？」
『っ、でも、私とカズが初めて会ったのって
高校生の時なんだよ？
しかも、この男と一緒に
出掛けたりなんてした事無い筈…』
そう言って何となく写真の裏を返すと
下の角隅の辺りにとても上手とは言えない
乱雑に細かく震えた字でこう書かれていた。
.
【 Aを頼む 】
その言葉に目を疑い、息が出来なくなるぐらい
心臓がドクンと大きく跳ね上がった。
どう見てもカズが書いた字ではない
荒々しい字は私の頭をさらに混乱させる。
…これ、誰が書いたの？
どういう意味？
『…っ、』
しかしその瞬間、
目の前が銀色にチカチカと眩しくなり
膝の力が抜け、立っていられなくなった。
「…オイ！っ、A！？」
咄嗟に私の身体を支えてくれた
櫻井さんの腕にしがみ付き、
目を閉じて視界が元に戻るのを待つ。
ーーおとーちゃん！もお、いくの？
ーーおまえがA…？…オレ、カズっていうんだ！
−ーオレ、…Aの親父知ってるよ？
閉じた瞼の先に、前に見た沢山の断片的な記憶が
フラッシュバックする。
『…櫻井さん、今…何時？』
「えっ？」
『２２時まで、あと…何分なの？』
櫻井さんは私を支えながら腕時計を見た。
「今、…２１時４１分。
あと、２０分も無ぇぞ…。」
時刻を聞いた後、私は瞬時に身体を起こし、
鞄からスマホを取り出して電話を掛けた。
この人なら今のカズの居場所を
知ってるかもしれないと、僅かな望みをかけて。
「…あっ、A？」
『もしもし、裕くん！？今、大丈夫っ？』
「おん。…そない焦ってどないしたん？」
『…今、カズの事探してるの！
家には居なくて…っ、何処か知らない！？』
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ゆき(プロフ) - コメ返ありがとうございます。本当に大好きな作品です。実は私のお誕生日に櫻井さんのお誕生日のお話だったので、とっても感激してたんです。またシリアスな展開になって大変かと思いますが、更新を楽しみにしてますね。主人公ちゃんがんばってほしいです。 (2019年3月14日 11時) (
レス) id: d68d4105ec (このIDを非表示/違反報告)
サフィア(プロフ) - ついこの間この小説の存在をしって一気に読みきっちゃいましたっ。すごく大好きになりましたし、文章とっても大好きです。更新楽しみにしてます！ (2019年3月6日 14時) (レス) id: 34b00c4705 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - さっくさん、更新をいつも楽しみに読ませて頂いています。というか好きすぎて何度も読み返してます。櫻井さんと主人公の関係にキュンキュンドキドキしながら、時に切なくて涙無しには読めません。これからも更新を楽しみにしてますね。 (2019年3月4日 14時) (レス) id: d68d4105ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さっく | 作成日時：2019年2月25日 18時
