一生に一度の恋５ (ページ10)

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来宅ページ10

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２人で二軒目を探していたが、
土曜の週末というのもあって
どこも人が多く、先程の緊急事態もあった為か
条件の揃うお店をなかなか見付けられずにいた。

真冬の外を歩いているお陰で
だんだん身体も冷えてきて
ぶるぶると震えが止まらない。

さっきまでの楽しかった時間を
ぶち壊してしまった責任と
まだ櫻井さんと一緒に居たかった私は
半分本気、半分冗談のつもりで
意を決して誘ってみる事にした。

『…なかなか店も見つかんないし、
家も近いから、来る？
お誕生日前だけど。(笑)』

そう言うと、櫻井さんは目をまん丸くさせて
驚いた顔をしたが、
すぐに目を細めて怪訝そうな表情に変わった。

「…お前それ、本気じゃねーだろ。」

『…さぁ？(笑)
本気かどうかは、櫻井さん次第じゃない？』

意味深な言葉と櫻井さんをその場に残して
繋いでた手を離し、スタスタと先に歩いた。

しかし、すぐに繋いでいた方の腕を掴まれ、
後ろに振り戻される。

目の前の櫻井さんは真剣だった。

「…本気で言ってんのか？」

彼の気迫と真っ直ぐな瞳に
一瞬怯みそうになったが、
負けじと真っ直ぐ見つめ返す。

『…変な事しないって約束してね。』

「フンッ。
こんなに紳士な男、他にいねーぞ？(笑)」

『本当に紳士な男性は、初めて会った時も
あんなにガッつかないと思うけど。』

痛い所を突かれたのか
櫻井さんは目線を外し、少し黙った後
…その件は大変申し訳ありませんでした。と
頭を下げた。

その姿が面白くて笑いが込み上げる。

「この頃俺ら、立場逆転してねえ？(笑)」

『それだけお互い本性が
表れてきたって事でしょ。(笑)
もしかして、猫被り合ってた？』

顔見合わせてクスクス笑う。
そしてどちらともなく
手を取り合い、家に向かって歩き出した。

途中コンビニに寄ってお酒やおつまみ、
お互いの煙草を購入して
私のマンション下まで辿り着く。

…とうとう来てしまった。
コンビニの時点でやや緊張はしていたが、
今は心臓が飛び出そうだ。

エントランスのドアを開けて
エレベーターを呼び降ろすボタンを押すが
その指が震えていた。

…緊張し過ぎて倒れそう。

隣の櫻井さんはキョロキョロと辺りを見回して
「結構セキュリティー、しっかりしてて
綺麗だし、案外いい所じゃん。」
なんて余裕たっぷりだ。

…冷静に。落ち着け、私。と
心の中で自分自身に言い聞かせ、
手に持っていた鍵で部屋のドアの鍵を開けた。

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