一生に一度の恋５ (ページ9)

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もし、これから先
恋人になれたとしてもお友達でいたとしても
櫻井さんと一緒に居ても
私の仕事のせいでこうやって気を遣わせたり
我慢させてしまう事が
沢山出てくるのだろう。
その度に私は彼に対して申し訳無くなり、
何も言えなくなっていくんだ、と思った。

櫻井さんと出会う前に思っていた事。

《好きな人にも同じ足枷着けるくらいなら
私一人で十分。》

私と出会った事で
彼の人生に迷惑を掛けてしまうんじゃないかと
切なくなった。

…それでも、
私はこの温かい手を離したくない。
欲深くてただの独りよがりな
気持ちなのかも知れない。

でもそれ以上に今の私は彼という存在に
助けられ、沢山の幸せと勇気を貰っている。
彼と出会って「普通の女」としての幸せを
知ってしまった、だからこそ
彼を想う感情だけは真っ直ぐで居たかった。

落ち込んで大人しくなってしまった私とは
正反対に櫻井さんは
楽しそうに笑顔で歩いている。

『…さっきはごめんね。私のせいで。
まさかお客さんと会うと思わなくて。
本当にごめんなさい…』

「…何で謝るんだよ。(笑)
A、何も悪い事してねーじゃん。
前のコンビニでの事もあったし、
いつかはこういう事態もあると想定してたから、
気にする事ねーよ。」

『…っ、しかも、お金！
自分の分、払ってない！』

「…女に金出させる訳ねーだろ。
そこは、ご馳走様！…でいいんだって(笑)」

女の子の真似事をして
ご馳走様、の後の綺麗なウィンクに
思わず胸がときめいた。
…そんなお茶目な面もあるのね。(笑)

『…ご馳走様でした。
いつも、ありがとうね？』と
感謝の気持ちを伝えると
櫻井さんは何かを期待する顔で
ニヤニヤしている。

『………ウィンクなんかしないからね。
私、そんな安くないから。』

「…ノリ悪ー。つーか、何様だよ(笑)」

恥ずかしくて可愛くない態度を取ってしまう
自分が嫌だったが、
そんな私も全て包んでくれる彼に
心底、感謝でいっぱいだった。

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