一生に一度の恋５ (ページ7)

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開いた紙をお互いの間に置き、
２人で覗き込む。

記載されている内容は
私自身の住所、本籍の他に
出生した時の細かい事柄や
母親が亡くなった時の日付けなど
事細かに記されていた。

そして私は、戸籍謄本に載っている
【父】の欄を指差す。

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『……私のお母さん、
アイツと結婚してなかったみたい。』

私の指す先の
【父】の名前が載っているだろう筈の部分が
はっきりと真っ白く空欄になっていた。

「…っつー事は……」

『…うん。法律上は
未婚のシングルマザーだった。
だから私は…私生児って事みたい。』

私生児とは婚姻関係を結んでいない
両親の間から生まれた子供の事である。
戸籍の上では私には
父親が居ない事になっていた。

櫻井さんは私の思い掛けない告白に
言葉を無くし、淡々と文字の並ぶ紙を
見つめている。

カズの過去と結びつける様な手掛かりは
何も見つけられず、
私の淡い願いは見事に砕け散った。

『名前くらい分かってたらなぁ…
何か糸口でも見つけられるかと
思ってたのに。』

目の前の事実がショッキングな内容なのに
落ち着いて平然と話す私に
櫻井さんは焦った顔をする。

「…お前、ショックじゃなかったのかよ。
っ、こんな事実、突きつけられて。」

『あらかた予想は付いてたから。(笑)
アイツの名前すら私は知らないし、
お母さんのお葬式にも来なかった。
しかも私の事、認知すらしてなかったんだから
父親の責任なんてどうでも良かったんだよ。
この紙見て、確信した。(笑)

…それよりずっとカズの事の方が
私にとって大事っていうか、心配。』

私は、無意識に溜め息が出た。

『アイツの戸籍を取り寄せようとしても
身内の承諾書が必要になるみたいだし、
私達の過去を知るには
やっぱりカズから直接聞くしか
方法は無いって事か…。』

すると落胆していた私に
櫻井さんは勢い良く顔を向け、
目を見開いて恐る恐る口を開く。

「っ、…お前、今…
カズって…言ったか？」

『うん。…あれ？お兄ちゃんの名前、
言ってなかったっけ？

二宮和也って言うんだけど
腹違いだし、名字も違うの。』

そう伝えると、櫻井さんは目を逸らし
眉をひそめて難しい顔をした。

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