一生に一度の恋５ (ページ6)

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『……何、食べたい？』

「えっ？」

『櫻井さんの食べたい物、何でも作るよ？
遠慮なく言って。
お家も、片付けとかなきゃ(笑)』

「…マジで？良いの？」

『えっ？来てくれないの？』

「っ、…行くさ、行くよ。
………是非行かせて頂きます。」

そう言って少しだけドギマギしながら
頭を下げる櫻井さんが
意外過ぎて笑ってしまった。

だって…耳が赤くなってるんだもん。(笑)
少し恥ずかしいのかな？

『…何か、櫻井さん可愛い(笑)』

「はぁ！？俺、そろそろ２９歳だぞ？
そんな可愛いとか言われる歳じゃねー。」

女の子が良く言う「可愛い」の言葉には
「好き」っていう意味もあるんだよ？
櫻井さん、女心分かってる様で
意外と分かってないんだなー。(笑)

お酒と会話が進み、２人仲良く笑ったり
たまにお互いをからかってみたり
楽しい時間を過ごしていると
櫻井さんはこの間の電話の事を質問してきた。

「この前の電話さ、あれ何だったの？(笑)
いきなり励まして！とか。
今考えても不思議でしょうがねーんだけど。」

『あぁ、あれね。(笑)』

すぐ、頭の中にカズが思い浮かんだ。

この間の事が頭に過ぎって
胸が締め付けられそうになり、
泣きそうになるのを我慢する。

櫻井さんを真っ直ぐ見つめて
私は全てを話した。

あんなに優しくて、どんな時も傍に居て
私の事を受け入れてくれていたカズが
初めて見せた冷たい表情。

喧嘩の引き金が、私の無神経な一言だった事。

そして、私達が出会う前の事を
一切語らない事。

カズが背負う謎の過去。

全てありのままを櫻井さんにぶつけた。

彼は真剣な顔で時折、眉を八の字に下げ
心配そうに黙って聞いてくれていた。

『…櫻井さんに本当の兄妹なのか
確かめた事あるのか？って聞かれて、
即答出来なかったのはそういう理由。

昔の事を何も話してくれないのは、
私に…多分、何かを隠してるんだと思うの。

だから、櫻井さんと電話した次の日に
確かめに行ってきた。』

「…何を？」

自分の鞄からやや小さめの封筒を取り出し、
中身を開く。

『…市役所に行って、戸籍謄本貰ってきたの。

もしかしたら、私の過去に
カズの過去に繋がる
何かがあるんじゃないかって。』

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