一生に一度の恋５ (ページ31)

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だけど、なんだかさっきの
「特別な人間」という言葉が引っかかる。

どういう意味なんだろう？
この車に乗れた私も「特別な人間」？

色々思考を働かせるが
カズの事でもかなり悩んだ頭はパンク寸前。
もう難しい事は考えたくない…と
潔く悩むのを止めた。

車のスピーカーからは
海外のジャズの様な
落ち着いた大人の音楽が流れ続けている。

オーナーの普段見せない部分を
垣間見れたお陰で
行き道で感じた気まずさは無くなり、
お互い言葉も交わさず黙ったままだったが
それが何だか心地良さを感じた。

『オーナーって彼女いないの？』

ふと思い付いた疑問をぶつけてみた。

「おらん。」

『いつから？』

「…もう覚えてへんくらい、ずっとおらん。」

『嘘だ(笑)…変態な部分は置いといて、
見た目男前だし、お金も車も持ってるから
わんさか女の子寄ってくるでしょ？』

「別に変態でもええやんけ。(笑)

ちゅーか、寄ってきた所で
俺が興味無かったらいらん。面倒くさい。」

『へぇー。興味のある女しか
要らないって事は…意外と一途？』

「まぁ、そうかもしらんな。」

『へぇ。……何か面白い。(笑)』

「アホか、お前。」

あんなセクハラばっかりする癖に
本命には一途とか意外過ぎ。

…今日は何だか珍しいものを
沢山見れた気がする。(笑)

そしてその後
真っ直ぐマンションまで送り届けてもらった。

助手席の窓が下がると、
そこからハンドルを握るオーナーに
お疲れ様でした。と軽く一礼する。

すると、…土日も頼むで、明奈嬢。(笑)と
いつものニヤッとした怪しい笑顔で
車のマフラー音を響かせながら
オーナーは帰っていた。

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