一生に一度の恋５ (ページ4)

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「っ、…美味しいっ！！何これ！」

『だろ！？(笑)これヤバくね？
もう他の鶏肉なんか食えねーよな(笑)』

櫻井さんのおススメの
セセリの炭火炙り焼きを一口頂き、
あまりの美味しさに驚愕する。

週末の土曜日、
そして一番お店が賑わう時間帯なのもあって
店内はガヤガヤと騒がしく常に満席状態。

１秒でも早くアルコールを求めていた櫻井さんと
何もこだわりが無かった私は
店員さんに案内されるまま、
タイミング良く空いていたカウンター席に座った。

左隣に座る櫻井さんがもぐもぐと
口動かしながら、私に顔を向ける。

「Aは、今日何してたの？」

『えっと、今日はねぇ………あっ！そうだ！』

足元に置いてある荷物入れの籠にしまっていた
紙袋を取り出す。

『ご飯屋さんでこんなの出すのは、
ルール違反なんだけど…。
これ、良かったら櫻井さんに。』

「えっ？何々？プレゼント？(笑)」

『対したもんじゃないし、
お口に合わないかも知れないけど…』

紙袋の中から取り出した容器には
カズへのお礼のご飯で余った食材で作った
筑前煮と煮込みハンバーグ。

『今日はこれ作ってたの。
独身貴族の櫻井さんの事だから、
毎日外食とかコンビニで
済ましてるんじゃないかなーって。(笑)

たまにはちゃんとしたの食べないと
身体壊すよ？』

「………マジで？俺の為に？」

そう目を見開き、
キラキラした瞳で聞いてくる櫻井さんに
にっこり笑い返す。

『また、お家でゆっくり食べて(笑)
ここだとバレたら怒られちゃうよ。』

「いや、せっかく作ってきてくれたんだし
今、食う。」

そう言って堂々とプラスチックの密閉容器から
筑前煮を箸で摘み、口に運んだ。

…どうしよう。好みの味じゃ無かったら。
苦手な食材とか聞いとけば良かった…。と、
不安になり心配そうに
もぐもぐしてる彼を見つめていると

「…うんまっ！！マジで美味い！(笑)
お前料理、上手なんだな！
絶っ対、良い奥さんになるよ。(笑)」

嫌味の無い笑顔でそう言われた。

…奥さん？

結婚なんて考えてもいなかったが、
こうやって好きな人にご飯を作って
喜ぶ顔を見て、自分も幸せな気持ちになる。

こういう気持ちに毎日なるのかな？と
ほんの少しだけ想像出来た気がした。

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