一生に一度の恋５ (ページ30)

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「そんないっぱい持ってへんわ(笑)
今のところ２台だけ。」

『あんな格好良い車、すっごい高そう…』

「これでも一応、経営者やからな。」

そう少し照れた様に俯いた。

「経営者」「お金」「高級車」

男だったら誰もが羨む、女だったら誰もが靡く
３種の武器をこの人は既に手にしている。

…意外と凄い人なのね、変態野郎だけど。

少し尊敬の念が表れ、
ジッとオーナーを見つめていると
目の前の男前が短くなった煙草を
灰皿に押し付ける。

「あの車は特別な人間しか乗られへん
レアな車や。」

そう言って、またスタスタと１人
車に向かって歩いて行った。

…特別な人間？
お金持ちじゃないと乗れないって事？

しかし、言葉の意味を考える暇も無く
存在感溢れる格好良い車のエンジン音が聞こえ、
慌てて煙草を消し、素早く車に乗り込んだ。

…この人、本っ当にマイペース！
もう少し相手の気持ちを考慮して
動いてくれないもんかしら。と、
ラーメンをご馳走してもらった分際で
心の中で不満を並べながらシートベルトを締める。

「…お前、２人で飯行った事
店の人間に言うたらアカンで。」

車のエンジンを掛けたまま
運転席に身体を沈めている顔は真剣だった。

とりあえず、
…はい。とだけ返事をして
動き出す車の中で言葉の意図を考える。

この店に入店した時にオーナーから
スタッフとの恋愛は禁止だと
言われたのを覚えている。
別に普通にご飯を食べただけだが、
噂にでもなればオーナーのとしての
面子も立たなくなるし、
従業員達への示しがつかない。

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