一生に一度の恋５ (ページ26)

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そんな切ない気持ちに浸っていると、
勢い良く個室のカーテンを開けられる。

…開けるなら一言くらい、声掛けてよね。と、
失礼極まりない行動に嫌な気分になり
眉間に皺を寄せて睨みながら見上げると
そこにはオーナーが怠そうに
私を見下ろしていた。

『…何ですか？』

この人は礼儀も知らないのか、と
苛々する気持ちを抑えて、冷静に聞く。

するとオーナーは
私の目の前に来るようにしゃがみ込み、
顔を近付けてきた。

…っ、何なのよ、この人！
またセクハラする気！？

近付く顔から逃げる様に後ろに下がるが
背中が壁にぶつかり、逃げ場を失う。

ジッと私を見つめ、至近距離のオーナーが
小さい声でボソッと呟いた。

「……お前、この後、用事あるんか？」

『…はっ！？』

何で、そんな事聞くの？と
言葉の意味が分からず、大きい声で聞き返すと
オーナーは軽く私の頭を叩いた。

「デカい声出すなや、アホ。」

女の子叩くとかあり得ないんだけど！

でも、大きい声で話せないから
顔近付けてきたって事？

何となくオーナーの意図を解釈し、
叩かれた頭を撫でながら
私もコソコソと小さい声で話す。

『…いきなり、何なの？』

「やから、この後
予定あるんか聞いてんねん。」

『いや、特に何もないけど…。』

「…せやったら、ちょっと付き合え。」

そう言って立ち上がり、事務所へ
スタスタ戻って行った。

オーナーの考えてる事が全く理解出来ず、
クエスチョンマークが頭に並ぶと丸ちゃんが
お給料、準備出来た！と私を呼ぶ。

ニコニコ笑顔の丸ちゃんから
今日もお疲れ様でした。
もう下に送り居てるからね♪と
本日のお給料を受け取って
挨拶を程々に店を後にした。

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