一生に一度の恋５ (ページ25)

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心遣いページ25

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その後、予約の仕事が２本あり
先程の教訓を胸に「明奈」らしく
テキパキと終わらせる事が出来た。

帰る支度を整えつつ、
お給料の精算を待っている時
私のスマホが震える。

裕くんからだ。

……っ、もしかして！？

焦る気持ちを抑えてLINEを確認すると、

裕:カズ、戻ってきたで。

と一言だけメッセージが入っていた。

それを見て胸の中が一気に落ち着いた。

…良かった。生きてた。

大袈裟かもしれないけど、
私にはそれだけ心配で不安でいっぱいだった。
涙が出そうなくらいホッとする。

カズに会いに行って早く謝らなきゃ！と
そう思い付いたが、ふと冷静に考えた。

…今日からカズの店は周年祭だ。
カズにはシャンパンタワーという大役がある。
そしてお客さんだっていつも以上の人が来店して
私の席にゆっくり居られる時間すらない筈だ。
No. 1が故に色んな卓にも
挨拶しなければならないし、
私が行っても邪魔になってしまう。

今すぐにでもカズの姿を
確認したい気持ちは大きかったが
またイベントが終わってから
ゆっくり話に行こう。
無事で居てくれただけで良い。
同じ夜の仕事をしていて
プレッシャーも分かるからこそ
今は自分の気持ちを無理に押し付けず、
カズを理解してあげたい。

そう結論を出して、裕くんにLINEした。

A:無事で本当に良かった。
今日から周年祭でしょ？
また日にち改めて行くね。
連絡くれてありがとう。

裕:ホンマにええの？

A:ゆっくり話せないだろうしね。
カズに無理せず頑張って、って伝えて下さい。
裕くんも頑張ってね。

そうやり取りをして
すぐにスマホを鞄に仕舞った。

前の私なら今すぐにでも店を飛び出して
一目散にカズに会いに行っただろう。

でも、櫻井さんに言われた

「今までしてきてもらった有難い幸せ、
ちゃんと返してやれ。」

その言葉が私の焦る気持ちに
思いやりというブレーキを掛けてくれていた。
何も言わず優しく見守っていてくれたカズに
少しでも恩返ししたい。
もしかしたらもう遅いのかもしれないけど、
私に今出来る事と言えば
そんな事くらいしか思い付かなかった。

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