一生に一度の恋５ (ページ17)

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『…何もしないでって言ったけど、
今日のお礼っていうか…
キス出来なかった代わり…みたいな？(笑)』

そう言うと櫻井さんは
その場にいきなりしゃがみ込み、頭を抱える。

「…チッ………クッソ…。」

意外な反応に戸惑った。

『…怒ってる？』

「…お前なぁ、そんな可愛い事してきたら
俺帰れねーじゃん…」

『ンフフ。(笑)でも、謝らないからね？』

「そういう所が小悪魔だっつってんだよ…」

項垂れて小さくなった櫻井さんを跨いで
私は笑顔で部屋に戻った。

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それからしばらくしてすぐ
このまま居ても俺の狼の部分が
暴走しそうだし、そろそろ帰るわ(笑)と
帰り身支度を整えた櫻井さんを玄関まで見送る。

『今日はありがとうございました。

…ていうか、もう日付けも変わって
電車も無いけど、どうやって帰るの？』

「家近いし、歩いて帰るかな。」

『………じゃあ、ちょっと待ってて！』

急いで部屋に戻り、
アウターを羽織ってキーケースと手袋を持ち、
玄関へ戻った。

「寒いし、見送りはここでいいって。(笑)」

『いいから、いいから(笑)

ちょっと着いてきて？』

そう伝えて、一緒にエレベーターで下に降り
駐輪場へ向かう。

自転車が沢山並ぶ中から
私の赤い折りたたみ自転車を引っ張り出して
櫻井さんの前に置いた。

『自転車、貸してあげる！
私全然使ってないし、良かったらどうぞ。』

「…マジで！？いいの？」

目をキラキラさせて喜んでいる彼を見て
１つだけ、お願いをした。

『私の代わりに乗ってあげて？(笑)
でも、これ…とっても大事なモノだから
壊したりぶつけたり、盗まれたりしないでね？』

「もちろん。大事に使わせてもらうよ。
サンキュ！」

そして防寒の為に私の手袋を貸して、
マンションの下で手を振り
帰って行く櫻井さんの後ろ姿を見送った。

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