一生に一度の恋５ (ページ16)

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お礼ページ16

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テーブルに並んだ食器やおつまみの袋など
キッチンに運び、片付け終わると
櫻井さんは上着も着ずに
ベランダで煙草を吸っていた。

そんな後ろ姿がとても格好良くて
目を奪われていると、
視線に気付いたのか彼が振り返る。

「おっ！片付け、ありがとうな。
…Aも来る？」

『うん！』

誘われるままベランダに出ようとしたが、
煙草の他にソファーに置いてある
ブランケットを手に取って、彼に渡す。

『…はい。これ使って。
櫻井さん、その格好じゃ寒いよ(笑)』

「…サンキュ。
でも、Aも寒いだろ？お前が使えよ。」

『このモコモコ、意外とあったかいから大丈夫。
遠慮しないで使って。』

…前みたいに風邪引くなよ？(笑)と、
櫻井さんは渡したブランケットを肩に掛けた。

吐く息が真っ白になるくらい
外は冷え込んでいるが、
隣に櫻井さんが居るお陰で
心が温かく幸せな気持ちに溢れ
なんだかあまり寒く感じなかった。

２人で目の前の高速道路を走る
車達を見つめながら煙草を吸う。

『…とりあえず、カズに謝らなくちゃ。
私の一言が無かったら、
喧嘩する事も無かったんだし…

…勇気出して、頑張ろ！』

「………そんな頑張んなくて、いいんだよ。」

『えっ？』

「Aはそのままで良い。ありのままで居ろ。
お前の出来る範囲で
思ってる事そのまま伝えたら、
兄貴もちゃんと分かってくれるよ。」

『…うん。ありがとう。そうだといいな…』

お互い顔を向き合わせる事無く
真っ直ぐ前を見ていたが、
彼の言葉に私の胸の中は希望に満ちていた。

『…あっ！ていうかさ、
居酒屋で私に何か言いかけてなかった？
あの、私のお客さんが来る前。』

「……俺、何か言ってた？覚えてねーわ(笑)」

『えぇー！？……まぁ、いいけど。(笑)』

そろそろ冷えるし、中入るか。と、
吸っていた煙草を灰皿に押し付けて
櫻井さんが部屋に戻ろうとした時
私はある事を思い付いた。

急いで自分も煙草を消して
背中を向けた彼の腕を引き戻す。

その勢いでこっちを振り向いた瞬間、
肩に掛けていたブランケットの
胸元辺りを自分の方に引っ張り

櫻井さんの頬にキスをした。

ゆっくり顔を離すと目の前の櫻井さんは
呆気にとられた様な顔をしていた。

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