一生に一度の恋５ (ページ1)

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自分の真実ページ1

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出掛ける準備を整え、マンションの下の
駐輪場へ向かう。

ダメージの入ったスニキーデニムに
薄手の赤のＶネックのニット
上にライダースジャケットを羽織り、
スヌード、手袋をして
寒くない様に完全防備をした。

白のゴツめのハイカットスニーカーで
自転車のペダルに足を掛ける。

少しハードで
男の子っぽいファッションをするだけで
心も強くなった様に感じるのは
女子特有の感覚かもしれない。

この自転車はカズが
初めてホストで稼いだお給料で買ってくれた。
お互い色違いで私は赤、カズは黄色の
折りたたみ式だ。
ほとんどタクシー移動ばかりで
全くと言っていいほど
活躍の場が無かったが、
ジッと黙って目的地まで送られるより
今は自らが動いてる方が気持ちが楽だった。

冷たい風が頬を掠め、
久々の運動に少し息を上げながらも
私はある場所へ向かった。

そこは大阪市役所。

理由は、自分の戸籍謄本を取る為。
そこに過去に繋がる手掛かりが残っていると
思い付いたからだ。

過去が気になるのなら
もっと早い時点で此処に来る事も出来た。

でもそれまでの私には
自分の過去を受け入れるキャパシティも
カズの背負う問題と向き合う程の
勇気は無かった。

…でも今は、櫻井さんがいる。

彼という強い味方、信頼出来る人間と出会い
向き合う力を分けてもらったお陰で
これから知る事になる現実にも逃げずに
真っ直ぐ立ち向かえる。

昨夜、彼が電話で言ってくれた
励ましの言葉を胸に仕舞い、
…よしっ。と、パチンと自分の頬を軽く叩き
いつもの小さな気合いを入れて
大きくそびえ立つ建物の中に足を進めた。

市役所には人もそれなりに居たが、
複数の所員が対応をしていて
あまり待つ事は無さそうだった。

戸籍謄本を取る為に必要な書類に記入して
その足で受付番号を発行し、
自分の番号が呼ばれるまで
空いてた長椅子に腰掛けた。

そう言えばまだ、
櫻井さんにLINEを返してない事に気付き
スマホを取り出して返事を考えていると、
目の前の電光掲示板に自分の番号が表示された。

…思ったより早いのね、と腰を上げ
同じ番号が点灯している所員の前に立つ。

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