一生に一度の恋 (ページ9)

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手に取ってみると、

【ご褒美。男前より】

アンパンマンのチョコレートの上に
貼られたポストイットにそう書かれていた。

『…フフッ(笑)あざーす。

てゆーか、アンパンマンチョコとか
子供扱いもいいとこ(笑)』

安田さんからの延長は取るつもりも無かったし、
それよりだったら来店回数増やして欲しいから
結果的にオーナーの指示に背いたのに。

『意外となんだかんだ優しいんだよなぁ…』

そんな独り言を呟き、
小さな癒しに感謝していると
カーテン越しから呼ばれる。

「明奈殿。」

今まで呼ばれた事のない呼び方だったのと、
丸ちゃんの低い声にびっくりして
勢いよくカーテン開ける。

そこには片膝を尽き、よくテレビで見る
王子様スタイルの丸ちゃん。

スッと、手を差し出したかと思うと
手元には部屋番が書いたポストイット。

「田中さん、本指名９０分。
宜しくお願い致します。」
と、テノール歌手ばりの低く太い声で言った。

『……ありがと。(笑)
さっきの飲んで少し元気なった？

いつも丸ちゃんには元気にさせてもらってるから
たまにはお返ししなきゃね。

よしっ。頑張ってくるか！』

自分に気合いを入れ、丸ちゃんから
渡されたポストイットを受け取り
そのままがっちりと握手。

いきなりの握手にびっくりしたのか
丸ちゃんは顔をバッと上げて
いつものふにゃっとした笑顔で
「明奈嬢ーーーーーっっっ！！」と叫んだ。

顔色もさっきよりは良さそうで一安心。

しかしすぐさま、また他の女の子達が
彼に突っ込んだのは言うまでもない。

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