一生に一度の恋 (ページ22)

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部屋に戻ると、
お客さんはソファーに移動していて
煙草を吸っていた。

煙草をそのぽってりとした唇の端に挟め、
部屋に入る前に買ったであろう
コンビニの袋をガサガサと探っている。

煙が目に入りそうなのか
少し目を細め、眉間に皺を寄せる表情さえ
サマになってて目を奪われてしまう。

「…これ買って来たんだけど、飲む？」

ホット用の小さいペットボトルに入ってる
ミルクティーをはい。と手渡されて、

「てか、了解もなく
煙草吸っちゃってたけど大丈夫？(笑)」

と、少し苦笑いをしてこっちを見てくるので
隣に座り、疑うような目線を向ける。

『…お客さん、ホントに初めてですか…？』

立ち振る舞いや風俗嬢に対する気遣いが
やけに慣れているというか、
自然で無駄がない。

まぁ、多少落ち着きが無さそうな雰囲気は
隠せていないから緊張はしていそう。

「マジだって！(笑)
…こんな風に冷静装ってますけど、
内心、場所も場所で落ち着かねーし
知らない事だらけで焦ってるよ(笑)」

やや笑いながら、
さっきより砕けた口調になった事に
少し自分の心も和らいだ。

ミルクティーの件は
お連れさんがよくこういう店で遊んでいるそうで
何か女の子の好きそうな小さいプレゼントを
差し入れするとウケが良いと
入れ知恵されたらしい。

「あのさぁ、こういう所ってＮＧな質問とかある？
例えば…普通だったら年齢とか
彼氏のアリナシだって
セクハラに当たる訳じゃん？」

『んーどうだろう…
まぁ、女の子に寄って違うと思うけど、
私に限っては無いですね(笑)
別に隠す事も無いし、
お客さんの希望や期待に応えたいので。』

へぇ～、と呟いたお客さんは短くなった煙草を
灰皿に押し付けてこう言った。

「俺、この世界未経験者だから
いっぱい聞いてもいい？(笑)」

『ふふっ(笑)何なりとどーぞ！』

綺麗な瞳に好奇心という塊を
チラチラと見せ、
少しニヤニヤと子供の様な笑顔を見せる。

自分より絶対歳上なのに
小学生みたいですっごい可愛い。(笑)

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