午前9時 ((丸山 ページ2
．
．
丸「Aちゃん」
「…」
丸「君のその美しい瞳、
素敵な唇
漆黒の黒髪
もう僕のハートは、君のものさ」
．
またはじまった。
．
こいつ、丸山隆平は、
隣のクラスのうざいやつ
休み時間のたんびにうちのクラスに来ては、
こんな、訳のわからないポエムを、
えんえんと聞かされる訳だ。
．
丸「じゃね、稚菜ちゃん！
またくるね！」
うるさい、もう来るな
．
丸山の笑顔が、うざくてしょうがない
それに最近、身体にまで症状が出始めている
あいつを見ていると、
胸がズキズキ痛むんだ。
なんなんだこれは、本当にむかつく
．
．
授業がはじまった。
黒板には、数学の方程式やらなんやらが、
呪文のように書かれている。
．
ふと、目を窓の外にやると、
グラウンドでは、体育の授業をやっていた。
．
あ、丸山だ。
グラウンドには、
たくさんの友達に囲まれた、あいつの姿があった。
．
ズキ
．
まただ、また
また胸が痛んだ。
．
ずっと丸山を眺めていると、
丸山がこちらを向いた。
．
ニコっと笑って手を降るあいつをみると、
思わず頬が緩んだ。
．
．
そうか
そういうことか
．
．
そのときようやく、すべてを理解した。
．
．
あいつを見ると胸が痛む理由も
あいつを見るとむかつく理由も
たくさんの生徒の中からあいつをすぐに見つけることができた理由も
．
．
．
．
私は丸山が好きなんだ。
．
．
．
いつもと変わらない教室が、
．
「(次あいつに会ったら、ちょっとだけ、ちょっとだけ優しくしてあげよう)」
丸「(授業受けてるAちゃんも可愛いなぁ〜)」
．
．
すこしだけ、輝いて見えた午前９時
．
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作者名：ゆん。 | 作成日時：2017年3月28日 1時
