虎の子は今日を駆けるII

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街をぶらぶらと歩きながら食材を探す。
ありきたりだけどカレーならば簡単だと、3人はカレーの材料を求めて動き始めた。
ふわりと香った、どこかで嗅いだことのある夕飯の匂い。
なんだか懐かしい気持ちになって、3人でふふふと笑った。


中「けほっ、」

宮「どしたの、海人風邪？」

中「ん、なんでもないよ」

宮「そ、なら良いけど」

吉「果たしてほんとに大丈夫なんだか、」

ビュン、と強い風が吹いて、枯葉が足の間をすり抜けていく。
鼻の頭が真っ赤な子供たちが、笑ってそれを追いかけた。


中「はぁ〜疲れた〜！」

吉「いやお前帰り手ぶらだったじゃねーか」

施設に帰り着き、材料をキッチンに並べる。
冷たい水で手を洗い、野菜を手に取った吉澤はそれをゴシゴシと洗い始めた。
八百屋のおばちゃんが笑顔で渡してくれた、おまけの人参。
ごろん、とまな板に寝転ぶ。

宮近は中村を誘って野菜の皮を剥き、それを吉澤が切る。
見事な連携プレーだと我ながら思う。
七五三掛に言えば、キモいなんて言って肩を叩かれるんだろうけど。

中「おお」

宮「えーすげえ」

吉「うん、」

テーブルに並んだ3枚の皿を覗きこんで、3人は感嘆の声を漏らした。

宮「俺らにも、食べ物って作れるんだな」

いくら吉澤が料理ができるとはいえど、後の2人は全くと言っていいほどに料理が出来ないのだ。
3人で写真を撮って、川島にメールを送ると、すぐに既読がついた。

［いいなぁ、俺もかいと達のカレー食べたい！］

画面を見ていた3人。
あまりにも川島らしい返信に、顔を見合わせて笑った。

いつもと比べれば静かだけど、楽しくて幸せな、束の間の休日。


束の間の休日。 fin.

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