検索窓
今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:52,260 hit

ページ27

松田は幼いながらに父親がやっていたことはよくないことだと理解していた。

昔、保育園で先生に読んでもらった絵本。
クスリという悪魔に飲まれ、滅びてしまう、なんていうバッドエンド。

松「なん、で」

父親の顔をどれだけ殴ろうと、どれだけ罵ろうと、もう二度とその瞼を開けることはないのだ。
一本の注射器で、唯一残されたたった1人の家族を失った松田は、注射、液体、薬のカプセル、その他クスリを連想させるものが嫌いになった。

震える手で父親の着ていたよれよれのジャージのポケットから携帯端末を取り出し母親に電話をかける。
連絡先を消していなかったのは偶然だろうか、それとも、こうなることを知っていた父親の最期の気遣いだろうか。

ワンコール、ツーコール、

何度鳴っても出ることはない電話の向こう側。
寂しさを紛らわすためにつけたテレビが、母の死を知らせた。


『えー今入ったニュースです。今日未明、◯◯町の△△△前の交差点で事故が起こりました。この事故で□□市に住んでいた_____さんが意識不明の重体で病院へ運ばれましたが2時間後に死亡が確認されました。その他の怪我人は________.』


松「っ!!」

小さく、幼い松田の心は壊れてしまった。
一度に大切な家族を失い、居場所もない、包み込んでくれる故郷もない、自分を認めてくれる人もいない。


どうしようもない。

裸足のままアパートを飛び出し、走った。

キラキラと光るネオンが綺麗な街で、松田はふと立ち止まる。
その頰に流れる涙にネオンの光が反射して、綺麗に輝いていた。







青い瞳の黒猫が、にゃあ、と鳴いた。

全てを忘れて、包み込んで。
暗闇の中に不安を放り投げてしまってもいい、
それで赦されるのなら。

●→←逃げて、また捕まって、捕まえて。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (66 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
173人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミルミル - 次回更新楽しみにしています (2021年5月6日 11時) (レス) id: cb03406a28 (このIDを非表示/違反報告)
kai(プロフ) - ちゃっぴさん» 全然!書いて頂けるだけ嬉しいのでっ♪無理しないで頑張ってくださいっ!! (2021年4月27日 6時) (レス) id: 6d6ceb074c (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぴ(プロフ) - kaiさん» いえいえ!リクエストですね!承りました^^b他にも頂いているリクエストやお話の流れの関係で時間が掛かりますが、それまで楽しんで待って頂けると幸いです(^^♪ (2021年4月26日 21時) (レス) id: 11acd2a104 (このIDを非表示/違反報告)
kai(プロフ) - ちゃっぴさん» 教えていただき、ありがとうございます!!リクエスト大丈夫ですかね、?松倉くんの体調不良がみたいですっ! (2021年4月26日 19時) (レス) id: 6d6ceb074c (このIDを非表示/違反報告)
ちゃっぴ(プロフ) - kaiさん» @chappi_0415です!たまに変態チックなツイートが流れるかもしれません…(苦手な場合リムって頂いて結構です^^)ぷらいべったー限定のお話も書いているので是非覗いて見てください! (2021年4月23日 22時) (レス) id: 11acd2a104 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちゃっぴ | 作成日時:2020年11月10日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。