私を振って下さい。 (ページ27)

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急に訪れたその日はページ27

私は嬉しくてユノの家に向かって走っている

今ならユノは家にいるなって思ったから
「今から行くね」とか何も言わずに
残業も断って走っている

だって、
大きな花火大会の特別席のチケットをもらったから！
友達が急用ができていけなくなったからと譲ってくれた

だから私は
すぐにユノを誘いたくて

マンションの下に着いてから
初めてメールをして知らせる

y「今？？」
「ごめん急にどうしても渡したいものがあって」
y「……良いよ」

玄関のドアを開けて
ユノが迎えてくれるのと同時に私はもう待てなくて

「あのね、ユノ！これ見て！」
y「どうしたの？」

いつもみたいに靴を脱いで
いつもみたいに私のソファの定位置に行こうとしたけど

いつも私が座るその位置に
見慣れない誰かが座ってて

一瞬訳が分からず
その状況を理解するまで時間がかかった

その見慣れない誰かは
この間見た写真の女性に似ていて

私の頭は
理解できないくらい混乱したのか
理解したくなかったのかも

ユノはユノで何も触れないし
私も強がって何でもないフリとかしちゃって

「あ、これ、あげる！」

気がついたら手に握ってた花火のチケットをユノに渡してた

y「え？これどうしたの？」
「見たいって言ってたでしょ？だから」
y「良いの？」

私はうん、と頷いただけで
それ以上何も言えなくて