何よりも暖かいもの ページ37
悟side
昼飯が一緒になった時に、いつも見かけるコイツの弁当
見たことのない具材が沢山入ってたり、おにぎりに顔がついてたり…
明らかに自分の弁当の方が豪華だってことは分かってる
でも…Aの弁当は自分の好きな物を詰め込んだおもちゃ箱のように見えて…それにいつも興味をそそられていた
ただなんとなく、「一つ頂戴」の言葉が言えなくて…
硝子や傑も食べている姿を見て更に食べてみたくなった
そしていつの間にか俺はコイツの弁当を見てしまっていたようで、向こうもそれに気付きこれはチャンスだと思った
相手から求めてくるように流せば…と思っていたら、まさかの断られた
食べられないことになのか…断られたことになのかは分からないけど、
胸の辺りがキュッと締め付けられるように痛んだ
小学校の時の遠足などの昼飯の時間は、基本一人だった
別にそれでいいと思ってた、無駄に会話なんてしなくて済むし他の奴らより明らかに俺の弁当の方が
美味いし…どこか痛む胸を無視してそう言い聞かせてた
誰かが声をかけてきてくれた時はその痛みが一瞬なくなる、けど来る奴らはいつも同じような人間だった
俺の家柄目当てか顔目当てか…そいつらは汚ぇ笑顔で寄ってくる
そんな奴らを蹴散らす反面、胸は刺されたかのように痛んで仕方なかった
そんなことを思い出していると、呼びかけられ振り向く
すると、散々嫌がっていたくせにあっさりとAは卵焼きを差し出していた
悟「…あげたくねぇんじゃなかったのかよ」
『…そっちの海老、美味しそうだったから…これと交換して』
心底笑いそうになった、明らかに見合ってない…そう言うと手を引っ込めようとするコイツの手首を少し強く掴む
悟「要らねぇとは言ってねぇ」
無理やり卵焼きを口の中に入れると、さっきまでの胸の痛みが嘘のように消えた
それと同時に、胸の辺りが…じんわり暖かくなっていった気がした
思わず顔が緩みそうになったのを隠す為に急いで顔を背けた
不安そうにこっちの様子を伺うコイツに、ずっと気になっていた不思議な形をしたウインナーと
こっちのおかずを取引した
あれはタコさんウィンナーと言うらしい…きっと味だけなら誰に聞いたって俺の弁当の方が美味いというだろう
だけど俺は、Aの作った卵焼きやタコさんウインナーが…今まで食べた何よりも美味しく感じた
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桜都葉(プロフ) - え…まって……。好こです…。 (1月19日 12時) (レス) @page41 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの(プロフ) - メロンのパンさん» どじょうと家電が合体しちゃいました笑ありがとうございます!! (8月7日 12時) (レス) @page4 id: 3c7a92fc04 (このIDを非表示/違反報告)
メロンのパン - どじょうケトルで吹きましたw面白いです!頑張ってください!! (8月7日 8時) (レス) @page4 id: 1fad8f46ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆめの | 作成日時:2023年7月28日 0時