【SLAM DUNK】メープル 2

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生徒達の心配が先か、Aの『危ない!』という声が先が、





それとも咄嗟にAの目を覆った洋平の大きな手が先か。








『え、何？』








突然真っ暗になった目の前に困惑したAがそう聞いても、声の主は特に答えようとする様子はない。










「ス、スマン!わざとじゃない!これはアクシデントだ!!不幸な事故!」



「き…きさまというやつは……」









覆われた手の人差し指と中指の間をこじ開けるようにして覗けば、顔を真っ赤にしてハーフパンツを抑えるキャプテンと気まずそうに謝る花道。





周りの生徒達は目に涙を浮かべて笑っている。





何だか面白そうなことが起こったような雰囲気に、Aはジトリとした目線を洋平に向けた。










『ちょっとよへ君ー…』



「いや、ゴリラのケツなんて見てて気持ちいいもんじゃないでしょ」



『別に私ケツくらい見れるよ』



「女の子がケツとか言わないの」








『おケツ』と言い直すと、「違う、お尻」と困ったように眉を下げて笑う洋平が見えた。




真っ暗から急に差し込んだ体育館の光が少し眩しい。











「殴られなきゃ分からんのかァ!!!」



「だから謝ってるだろ!わざとじゃない!!」



「キャプテン!!き…気持ちは分かりますが落ち着いて!!」








部員達に宥められても、キャプテンの怒りはなかなか治らない。



それはそうだ。私だってほとんど全校生徒がいる前でおケツ丸出しにされたらその場で舌噛み切って二度と目を覚ましたくないくらい恥ずかしい。








「さあ勝負再開だ!!テメーはあと2ゴールで負けだからな!!!」







しかし、いくら何でも無関係の後輩にゲンコツは酷いんじゃないかと、後輩達の頭上に腫れ上がったタンコブを見てAはひぇ、と声を漏らした。





見せたって減るもんじゃないんだし、と呟くと、キャプテンの男としてのプライドが間違いなく擦り減ってるよ、と洋平が憐れむような目線を向けた。





確かに、それは一理ある。







「あぁ…ますますお兄ちゃんを怒らせちゃったわ、洋平君、もうこの勝負やめさせて!!」



「それは不可能だよハルコちゃん。人間にはムリ」



『サラッと失礼だね』










そうこうしている内にあっと言う間に花道とキャプテンの点差は0−9。





容赦ないキャプテンに初心者花道はなす術なくゴールを決められてしまう。

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