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「あーそうそう、練習試合をきめてきたから。陵南高校」
のほほんとした雰囲気のまま言った安西監督に、部員がどよめく。
陵南高校は去年神奈川県のベスト4に入った強豪だ。
強豪校との練習試合の予定に顔を見合わせる部員を他所に、監督が体育館を見渡した。
「よーし──それじゃあ一年生対上級生で試合をしなさい」
「なに?!試合?!」
「オマエはまだダメだぞ」
俄然やる気の花道の首根っこを赤木が掴む。
一年生対上級生。
安西先生が突如としてこの提案をしたのは、1年生の力を見るためだろう。
今年は2、3年生が少なくて1年生もすぐ試合に出ることになるから、この機会に1年生の実力を確かめておく必要があるのだ。
「こりゃあ面白くなってきたわね!1年対2、3年かあ!!」
「フン、ちーとも面白くねぇ…」
『あっハルちゃん!』
体育館に現れた女子生徒を気づいてAが名前を呼ぶと、いじけていた花道がその名前に振り返る。
花道は試合に出ないと知ると少し残念そうな顔をして、眉を下げた。
「桜木君、焦らないでね。地道な努力はいつか必ず報われるってはお兄ちゃんが言ってたわ。あたしもそう思う」
『たった一週間でこんなにパスが上手くなったんだもん。すぐ試合にも出られるよ』
「Aさん、ハルコさん…」
じーん、と二人の言葉を受け止める花道。
つまりは焦るなと忠告したはずが、花道の頭は更にいいところを見せたいという願望の方に働いてしまう。
そんなことには気づかず、AはスポーツTシャツの上からビブスを着て、シューズの紐を結ぶ流川を見ていた。
「だけど、1年対2、3年かあ…てことは──」
「──赤木先輩対流川ってことね」
流川、その名前にそれぞれの反応を示す3人。
「……」
嫉妬心を燃やす花道。
「(流川君……)」
恋心を募らせる晴子。
『るかちゃーん!!勝ったらファミチキ奢ってあげるからねー!!』
幼馴染の活躍を応援するA。
「こら。何の話だ、何の」
『いてっ』
普通の応援しなさいと彩子に突っ込まれるAを流川が振り返る。
コートの外で彩子とじゃれ合うAを見て、流川はその無愛想な口角を微かに緩めた。
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Uo(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます❕お褒めの言葉本当に嬉しいです😖ご期待に応えられるよう頑張ります!! (7月29日 20時) (レス) id: a616e905ad (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 絵うますぎませんか? え、うま ビビるほど上手い 尊敬します!! お話もとっても面白いです!応援してます! (6月22日 14時) (レス) @page5 id: c33439ae2b (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» ありがとうございます❕たくさんのご感想に、私も日々活力を頂いています!!気長にお付き合い頂けると幸いです…!! (5月29日 2時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
生粋のまよらー(プロフ) - メープル3続編おめでとうございます!!これからも主様の投稿を心待ちに日々過ごして参ります!!!続編でもコメントします! (5月28日 20時) (レス) @page49 id: 3e4069aada (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» コメント、ありがとうございます❕仙道はのらりくらりという感じで掴みづらいキャラなので上手く表現できるか不安ですが、精一杯頑張ります!!温かいコメント、いつも本当にありがとうございます。とても嬉しいです😖 (5月28日 0時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Uo | 作成日時:2023年4月23日 1時