【SLAM DUNK】メープル 2

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「めちゃくちゃ臭くて、気持ち悪い見た目の花」



『おお』





「それで幻の花って言われてるんだから、笑っちゃうよね」







まるで私みたいだ。





"美和"なんて大層な名前をつけられて、実際は美しくも何ともないのに。









『みわりんは物知りだね』






「……」








嫌味だったのに悪意の無い笑みを向けられて、すっかり棘を抜かれてしまって、気恥ずかしくなって顔を逸らす。




可愛らしい私物、表情、仕草、おかしな笑い方、下手くそな絵。




全てが彼女の魅力に見えた。





嫌いだったはずなのに。目立つ人間が、上の人間が。






きっとこの人は「上の人間」なんて言われても、『なにそれ』と眉を寄せるのだ。










『──っていうかさ、みわりんって九州出身だよね？!』



「え、うん」




『九州のどこ？!』



「……長崎」



『長崎かー!ちゃんぽんうまいよねぇ』








描きかけのラフレシア──ではなく桜をそのままにして、うんうん頷きながらなぜか満足げな彼女。






「…あんたも九州なの？」







何となく聞き返せば、彼女はニッコリと笑って頷いた。








『私ね、出身沖縄なんだ』







『今でも沖縄の海を思い出すよ。沖縄の海はとっても広くて、大きくてね、まるで──…』









"まるで"



その後には何か言葉が続くはずだったのに、彼女は困ったように眉を下げて笑うだけだった。






この人はこんな顔もするんだ。新しい彼女の表情に、胸の中が満たされていくような感覚。









「A…って、呼んでもいい…？」








まるでの後の言葉は聞かなかった。



代わりに名前で呼んでもいいかと聞けば、彼女は嬉しそうに笑った。








『勿論』







彼女の笑顔は、やっぱり可愛い。










A。あんた、流川楓が好きなの？





やめときなよ。傷つくよ。だって流川楓は愛想が無くて、礼儀が無くて、女にモテる。






確かに顔は目ん玉飛び出る程の美形だけどさ。身長も高くて、ガタイもよくて。だけど、だけどさ、それだけじゃん。







「(ねぇ、…A、)」









いい人がいるの。





Aのことが凄く好きで、本当に凄く好きで、絶対に浮気なんかしなくて、Aしか見えなくて。





そんな人がここにいるよ。








「……なんて」



『うん？なあに？』



「別になんでも」



『あはは、その言い方るかちゃんみたい』



「は、やだ」


『ええ』






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