JAM! ページ12
✳︎
「へへ…とったぞ」
鼻血を出しながらも、花道は腕の中にバスケットボールを抱え込んで口角を上げた。
面白半分で見ていた野次馬はだんだんこの勝負にのめり込み始めて、応援しようと身を乗り出している。
「オレ桜木にかけるぜ!!」「オレも!アイツを見てると何かやりそうな気がするんだ」
生徒達の声に、洋平は微かに笑った。
「スゴイわ!みんな桜木君のスゴさを分かってくれたのね!!そうなのよ、桜木君はバスケ部の救世主なのよ!!」
キャーキャーと腕を振ってはしゃぐ晴子に、Aもその瞳を輝かせた。
『(桜木花道…)』
真っ赤で奇抜な髪に劣らない豪快な行動に、タフな性格。
ただの喧嘩が好きな不良かと思ったら、なんて面白い男だろう!
Aの面白い人探知機は、今桜木花道に激しく反応していた。
「いくぜっ!!!」
ノリまくってる花道がボールを持って走り出すと、バスケ部からの「ラグビーじゃないんだぞ!!」という制止が入る。
それはそうだ。バスケではボールを持って3歩以上は歩けない。トラベリングで反則だ。
「かまわん!!好きなようにさせろ。どんな方法だろうが、あのリングにボールは通させん」
しかし、立ちはだかった壁は大きい。
威圧感満載に立つキャプテンはまるで仁王様だ。
槍に刺されても倒れそうにないその貫禄に、花道も少し気圧されたようだった。
走ってリングに近づこうとしても赤木という大きな壁に行き先を阻まれ、諦めてその場からシュートしようとすれば叩き落とされる。
まるでバレーのスパイクのような"ハエたたき"に、体育館は大盛り上がりだ。
「さすが赤木さん!!」
「"ゴール下のキングコング"の異名は伊達じゃないぜ!!」
「ああ──お兄ちゃん、桜木君は初心者なのよ!そんなに本気にならなくても…!!」
「つまり花道のことをタダ者じゃないと直感してるんだ」
おどおどする晴子に、Aがニッと笑って言った。
『本気じゃなきゃつまんないよ』
「ああ。花道も超マジだぜ」
洋平の言う通り、花道は闇雲にボールを投げるのをやめて静かに息をついていた。
目線は真っ直ぐ、向かう先は──リングだ。
何か狙ってるな…と、思った時にはもう、花道の手からボールは離れていた。
492人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Uo(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます❕お褒めの言葉本当に嬉しいです😖ご期待に応えられるよう頑張ります!! (7月29日 20時) (レス) id: a616e905ad (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 絵うますぎませんか? え、うま ビビるほど上手い 尊敬します!! お話もとっても面白いです!応援してます! (6月22日 14時) (レス) @page5 id: c33439ae2b (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» ありがとうございます❕たくさんのご感想に、私も日々活力を頂いています!!気長にお付き合い頂けると幸いです…!! (5月29日 2時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
生粋のまよらー(プロフ) - メープル3続編おめでとうございます!!これからも主様の投稿を心待ちに日々過ごして参ります!!!続編でもコメントします! (5月28日 20時) (レス) @page49 id: 3e4069aada (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» コメント、ありがとうございます❕仙道はのらりくらりという感じで掴みづらいキャラなので上手く表現できるか不安ですが、精一杯頑張ります!!温かいコメント、いつも本当にありがとうございます。とても嬉しいです😖 (5月28日 0時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Uo | 作成日時:2023年4月23日 1時