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「(くそう、どうすればとれるんだ?!あと一本であのゴリラに負けてしまう、一体どうすれば……!!)」
「こりゃもう決まったな」「アイツに勝ち目はねぇや」と生徒達から聞こえてくる声の中に、花道の耳が一人の声にピクリと反応した。
『かっとばせ!桜木花道ー!!』
「!!!」
人混みの中で勢いよく手を振るAの姿。
相変わらず長い髪を揺らして、小さな顔全部で笑顔を表現している。
その横では、晴子が心配そうに両手を胸の前で握って花道を見ていた。
花道が小刻みに震えながら涙を流す。
「Aさん……!!!」
単に面白いことが好きなAのこの応援は、純粋に花道を応援するものというには少し違っているような気がするけど、花道にとってはそんなことはさしたる問題ではない。
Aは流川の彼女なのかと思っていた。だけどきっと違っていたのだ。
なんたって、今この桜木花道をあんな輝かしい笑顔で応援してくれているのだから。
「(オレのこと、応援しててくれたんですか…!!!)」
女子からの応援に一気に闘志を燃やし始めた花道からは、言葉の通り熱い炎が燃え上がっているのだ。
そう、まさに愛は勝つ。
彼女に良いところを見せたいという花道の思いは、その時キャプテンのバスケを愛する思いと同等か、それとも──。
「さァこォォォォい!!!!」
「おおーっ!なんか知らんが燃えてるぞ!!最後の一本だ!!」
『いいぞー!いけいけ!!』
「ああっ、ダメよAちゃん!もう止めなきゃ!!」
「ていうかかっとばせって野球の応援じゃない?」
『いいの、応援したいだけ!面白くなりそうなんだから!』
そう瞳を輝かせるAの言う通り、花道はそこから何とも面白いプレーを見せた。
シュートしようとするキャプテンの前に、まるで壁のように跳んでショートコースを塞いだのだ。
人間離れした体力と瞬発力。まさに神技!!
そしてあまりの迫力に、キャプテンの手からボールがこぼれた。
その後だ。大きな物音と共に、花道の雄叫び。
騒ついた生徒達には、何が起きたのかよく見えていなかった。
しかし次にコートを見た時にはもう──、
「へへ…とったぞ」
ボールは、花道の腕の中にあったのだ。
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Uo(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます❕お褒めの言葉本当に嬉しいです😖ご期待に応えられるよう頑張ります!! (7月29日 20時) (レス) id: a616e905ad (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 絵うますぎませんか? え、うま ビビるほど上手い 尊敬します!! お話もとっても面白いです!応援してます! (6月22日 14時) (レス) @page5 id: c33439ae2b (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» ありがとうございます❕たくさんのご感想に、私も日々活力を頂いています!!気長にお付き合い頂けると幸いです…!! (5月29日 2時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
生粋のまよらー(プロフ) - メープル3続編おめでとうございます!!これからも主様の投稿を心待ちに日々過ごして参ります!!!続編でもコメントします! (5月28日 20時) (レス) @page49 id: 3e4069aada (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» コメント、ありがとうございます❕仙道はのらりくらりという感じで掴みづらいキャラなので上手く表現できるか不安ですが、精一杯頑張ります!!温かいコメント、いつも本当にありがとうございます。とても嬉しいです😖 (5月28日 0時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Uo | 作成日時:2023年4月23日 1時