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『大丈夫?』
「大丈夫」
「ああ、ダメよそんな…!!ちゃんと消毒して…病院に行った方がいいかも!!」
まだ袖で適当に血を拭ったままの流川にハルコがあわあわと声を上げると、流川が再び振り返る。
今度はいつもの無表情を、さっきよりも少し眉を寄せて。
「うるせーな、ほっとけよ。だれだオマエ」
「っ…!!」
片思い相手から投げられた、心無い言葉。
傷ついた表情のハルコに気づいたAが、思わず口を挟もうとしたとき。
『えぇ、ちょっと、心配させといてそんな言い方──』
「流川ーーーっ!!!!」
『ええええぇぇええ??』
口を出すどころが手が出てしまった男が一人。
既に出血している頭を花道が容赦なく殴りつける。
屋上で響き渡るハルコの悲鳴。
洋平の焦った声。
「てめぇ、ハルコさんの優しい心を…!!!」
「いてーな、この…」
二、三回黙って殴られた流川は、その後思いっきり腕を振りかぶった。
ゴッ、という重たい音と共に流川の拳が花道の鼻に直撃。
「………お、……」
出血と頭の揺れでフラついた花道は、自分の鼻から出た血を確認して身体を立て直す。
180センチ以上もある上ガタイにも恵まれた大男花道を殴り返してくる奴などこれまでいなかったのだ。
まして、三発も本気のパンチを食らった後に。
「上等だコラァ!!!!!勝負せいやァ!!!おぉ!?」
「おい、おちつけ花道!!」
「流川君大丈夫?!血がすごいわ…!!!」
「ほっとけつってんだろ」
洋平達と違ってハルコが流川に片思いをしていて、花道がハルコに軽く失恋したという基礎知識を一人だけ知らないAは困惑。
委員会を終えて来た屋上、目の前で繰り広げられている状況に、思わず近くにいた洋平に走り寄った。
『なに、え?これどういう状況ですか?』
「あー…修羅場ってやつ…っすかね」
リーゼントに固めた頭を掻きながら洋平が答える。
見たところAはあの流川と親しい──恋人同士と言われても納得できる雰囲気だ。
その相手に片思いをしているハルコが来たこの状況は、Aにとって気持ちのいいものではないはず。
…そう思っていた洋平の心配は、どうやら水泡に帰したのだと一瞬でわかった。
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Uo(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます❕お褒めの言葉本当に嬉しいです😖ご期待に応えられるよう頑張ります!! (7月29日 20時) (レス) id: a616e905ad (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 絵うますぎませんか? え、うま ビビるほど上手い 尊敬します!! お話もとっても面白いです!応援してます! (6月22日 14時) (レス) @page5 id: c33439ae2b (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» ありがとうございます❕たくさんのご感想に、私も日々活力を頂いています!!気長にお付き合い頂けると幸いです…!! (5月29日 2時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
生粋のまよらー(プロフ) - メープル3続編おめでとうございます!!これからも主様の投稿を心待ちに日々過ごして参ります!!!続編でもコメントします! (5月28日 20時) (レス) @page49 id: 3e4069aada (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - 生粋のまよらーさん» コメント、ありがとうございます❕仙道はのらりくらりという感じで掴みづらいキャラなので上手く表現できるか不安ですが、精一杯頑張ります!!温かいコメント、いつも本当にありがとうございます。とても嬉しいです😖 (5月28日 0時) (レス) id: 05f236e790 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Uo | 作成日時:2023年4月23日 1時