179話 ページ29
そして一ヶ月後の今日の夜。休暇前最後の夕食、大広間で三校の生徒が集まる。
いつもなら学年末のパーティは寮対抗の優勝が発生される祝いの宴だったけど、今年の大広間は豪華な飾り付けはされていない。
教職員テーブルの後ろの壁に黒い垂れ幕がかかっていて、それがセドリックの喪に服している印だということはすぐに分かった。
「今年も──終わりがやってきた」
教職員テーブルから立ち上がったダンブルドアが、ハッフルパフのテーブルで視線を止めた。
「今夜は皆んなに色々と話したいことがある。しかし、まず初めに、一人の立派な生徒を失ったことを悼もう……本来ならここに座って──」
言葉を切った時、多くの生徒の目に涙が浮かんだのが見えた。
「──皆と一緒にこの宴を楽しんでいるはずじゃった……さあ、皆起立して、杯を掲げよう──セドリック・ディゴリーのために」
生徒が立ち上がる音、そして全員がゴブレットを掲げた。
「──セドリック・ディゴリー」
ダンブルドアの声に続いて、大広間の生徒の声が低く彼の名前を唱和した。
そして、杯が掲げられた。
「セドリックはハッフルパフ寮の特性の多くを備えた、模範的な生徒じゃった。忠実な良き友であり、優しく、勤勉であり、フェアプレーを尊んだ」
「いかに死をもたらしたか、友である諸君は知る権利がある──」
「──セドリック・ディゴリーはヴォルデモート卿に殺された」
大広間に、恐怖に駆られたざわめきが走った。
それでもダンブルドアは冷静に見えた。
「魔法省はわしに口止めをした。だが、真実を語らぬのは亡きセドリックへの冒涜じゃ。今我々は、共に同じ痛み、同じ悲しみを感じている」
「例え国は違えども、話す言葉は違えども、我々の心は一つじゃ……一連の事件が、我々が結んだ友情の絆をこれまでにない重要なものにした」
「正しきことと、易きことのどちらかの選択を迫られた時、思い出すのじゃ。一人の善良な、親切で勇敢な少年の身に何が起こったかを──たまたまヴォルデモート卿の通り道に迷い出たばかりに──セドリック・ディゴリーを忘れるでないぞ」
ハリーの隣に座っているAの表情が一瞬見えた。
ダンブルドアを見据えるAの碧い目は、ただ真っ直ぐと、前を向いていた。
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黒猫_Kurone - 2人の仲がいいことがわかるイラストでめちゃ好き…。番外編も面白くて、わくわくしながら読んでます！作者さん、素敵な作品とイラストを提供していただきありがとうございます！！ (6月17日 15時) (
レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
黒猫_Kurone - ダンスパーティーで、フレッドの活躍や、主人公ちゃんがハリーの目の色に合わせて、ドレスを選んだというシーンとかめちゃ好きです！閑話のハリーと主人公ちゃんのイラストで、ハリーかっこよすぎて惚れるし、主人公ちゃん、天使…めちゃかわいい…(チーン (6月17日 13時) (レス) @page37 id: 02580b15cb (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - ダイアナさん» コメントありがとうございます❕セドリックの最期は本当に切ないですよね😖 (6月5日 0時) (レス) id: d9295642a6 (このIDを非表示/違反報告)
ダイアナ(プロフ) - セドリックｳｳｳｳｳｳｳ (2023年3月3日 6時) (レス) @page30 id: 43545663d6 (このIDを非表示/違反報告)
Uo(プロフ) - みのみのさん» コメントありがとうございます❕私も、この炎のゴブレットがハリー・ポッター作品の分岐点のようなお話だと思っているので、とても嬉しいです!!イラストを公開するのが何気に一番緊張するので、ドンピシャと言っていただけると本当に安心します😖 (2022年9月19日 21時) (レス) id: 6bc61cb134 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とま | 作成日時：2022年9月15日 17時
